ファラデー 『ロウソクの科学』 | 東海雜記

東海雜記

主に読書日記

クリスマスに送られた美しき実験講義

クリスマスも終わり、あっという間に年の瀬。
。。。なんですが、私の頭の中はいまだひとりクリスマス。
クリスマスにいただいたキャンドルに火を灯し、
久しぶりにファラデーの『ロウソクの科学』をひもといたりしてます。

1861年のクリスマス休暇に、ロンドン王立研究所が主催した連続6回のクリスマス講演。すでに引退を決めた大科学者ファラデーの記念公演。
科学者の公演なんて堅苦しいな、と最初は構えて読んだのですが。。。

ファラデーは燃える一本のロウソクを前に、その材料、歴史などの薀蓄を交えつつ、ロウソクはなぜ燃えるのか、そして、燃えたら何ができるのかを実験を交えながら解説していきます。

誰にでもおなじみの、クリスマスのキャンドルを手に優しく科学を説いてゆくファラデー。

この時代、科学はまだ若く、希望をもったものでした。
人々も若く、好奇心旺盛でした。

鍛冶屋の息子として生まれ、苦学を重ね、偉大な業績を成し遂げたファラデーですが、ここで語りかける口調は優しく、特に次代を担う子供たち、若者たちに夢を与えています。

あなたたちも自分の世代において、ロウソクに比べられる存在になりますように。あなたたちが、ロウソクのように、まわりの人々にとっての光明となって輝きますように。そして、あなたたちが行動のすべてにおいて、仲間の人類に対する責務を果たすにあたり、その行いを名誉ある役立つものにすることで、小さなロウソクの美しさに恥じない存在となりますように

もしもお宅にキャンドルがまだあるなら、ひとつ灯してみませんか。
そして本書を広げ「科学」を夢見てみませんか。

1962年発行 角川文庫 357円(税込)


著者: ファラデー, 三石 巌
タイトル: ロウソクの科学