かつてはDKNYを着こなし颯爽と都会を生きてきた栄実、地方の活気のない農業に嫌気が差した農家の剛、玉の輿結婚から離婚し栄養士の聖子。栄実が逃げるようにして地元に戻り真夜中のサラダ工場で働いていた。ハイテクを駆使したサラダ工場では、無菌で清潔が売りでカフェレストランだけでなく、病院、学校給食へと参入し事業を拡大しつつあった。特別な産業もない地方都市でこのハイテク農業の存在は新たな都市産業を支える1つとして期待されていた。しかし、その工場から従業員の体調不良、奇形児の死産、地元小学生のアレルギー増加が出始める。栄実、剛、聖子はサラダ工場、ハイテク農業を疑い謎を明かしていくという、社会派サスペンス。
この本はハイテク農業がただ悪者といった単一的な書き方をしていません。安い賃金で働く外国人労働者と、過酷とはいっても日本に出稼ぎにくる外国人の事情、また従来の農業ではもはや生きのびれない日本農業の実態、無農薬がいいといっても虫のついた野菜など受け付けない都会人、食品添加物を気にしつつも、パートなど仕事や育児に追われ1分の時間も惜しむほどの家庭人は便利なカット野菜を利用する現実生活。産業のない田舎都市独特の閉塞感など、どれを取っても一方的に悪と決め付けられない。日本に横たわる矛盾社会の問題が表現されています。コンビニのおにぎり、いつもツヤツヤですが・・・あれを作る人から言わせると怖くて食べられないそうです。あちこちのカフェで出てくるサラダ。おいしそうですね・・しかしそのサラダもみずみずしさを出すための薬剤が使われています。
頭の中では微妙だ、大丈夫と不安を抱えつつもコンビニは生活に欠かせないものになっているのです。日本はTPP参加で、ますます食の安全が壊されようとしています。日本の食、自給率、農業について振り返り、また食はどうしたらいいのか、各人が考えるに良い作品です
TPPにおいてはモンサントというワードを探してみるといいでしょう。
鑑定など最新情報はこちら
メール鑑定についてはこちら
対面鑑定についてはこちら
めるまが登録と解除はこちら
そのほかお問い合わせはこちら
【送料無料】ブラックボックス [ 篠田節子 ]
|