戸惑いつつも、お父さん(牛)の毎日の膨大な餌、尿、糞、臭い、泣き声と母、姉、僕(小5)が近所や会社の人にバレのを恐れ格闘する。奮闘していきながら牛になったお父さんの実の姿を知ることになる。
明治から昭和初期にかけて父親とは上座に座り威厳を保ち、父の言うことが絶対であった時代。ところが昭和も中期から平成にかけては父親は給料を運ぶだけのマシーンと化してしまい、家庭内のことは無頓着。たまに家族と一緒にいても「ウザっ」といわれ邪険にされるのが、高度成長期以降の日本のお父さんのよくある像です。
今回のストーリーもお父さんは家で寒いダジャレを連発するイタイキャラクタとして描かれる。思春期にありがちなお父さんを汚いモノ扱いする姉(中2)。母は事を荒立てずスルーされる。
しかしお父さんが牛になってからというもの、お父さんの存在をあらためて知ることになる。うざいとか・・邪険にしている間には見えてこなかった、お父さんの姿が次々と明らかになってくる。
最後のほうは詳細は伏せますが、思わず、ほろりとしてしまいました。
お父さん、普段はめんどくさいし、家にいることが当たり前すぎて感じえなかったもの、いや思っていても見過ごしてしまいそうな家族間の小さなできごとと積み重ねは、実は幸せのひとときであるもの。人は小さな幸せにはことごとく鈍感なんだなと思わせた物語です。イラストもいや面白すぎてひきつける絵柄。
この晴居彗星はハレースイセイと読みますが、観ると生まれは1986年です。なるほどー日本がハレー彗星で大騒ぎした年の生まれなのです。きっとそこからペンネームをとったのでしょうね。
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