さてさて、春のクラシックはカンチェラーラの爆走で幕を閉じました。ドマーネユーザーの皆様、おめでとうございます。
 注目度の高いレースなので、活躍したバイクに関してのお問い合わせもたくさん頂けると期待しております。(ワクワク)

 現在発売中のファンライド5月号(3/20発売号)では、TREK ドマーネ、DEFY ADVANCE、PINARELLO ROKH、RIDLEY FENIXがロングライドバイクとして取り上げられ、インプレライダーとして不肖錦織参加させて頂きました。読んだ方からは「過去のインプレ記事でライダーがあんなにニヤニヤしているの初めて見た!」というお声ばかりを頂いておりまして、、、、スミマセン。

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 ということでTREK ドマーネですが、海外ではドマーニって発音するけど日本だと自動車で商標取られているからドマーネって書いているとかそうでないとかはおいといて、素晴らしいバイクです。発表直後は、「これってパヴェ用とかであって日本の路面ではオーバースペックじゃないか?」とか「ペダリングロスが発生するでしょ?」とかいろいろ予想されましたが、何度テストライドしても、僕自身がそう思ったことはありません。

 まずいちばん気にされている方が多い「ペダリングロス」ですが、舗装路で意図的にお尻をバンプさせない限りはシッティング時に大きなロスを感じることはないですし、ダンシングの際には「サドル荷重」がゼロになりますから、BBシェル周辺の剛性が重要であり、この点においてはDOMANEは、もうコレ以上ないくらいにがっしりしていますね。

 BMCのGF01などもそうですが、ロングライドモデル、パヴェモデルだから剛性を部分的に下げるっていう考え方は今ではもう基本としてはないそうです。コントールするべきは、「変形量そのものとその動き(方向性)」であり、あらゆるペダリングのベース位置となるBB周辺の剛性を下げたりすると、ステイなどなどの他の部分が目的通りに機能しないものなんだそうです。

 

 ライディング中は80%以上はシッティングしていますから、路面からの振動ってのはやはり累積します。それがフレーム側でカットされるだけでものすごい楽になりますね。
 アスファルト走っていても、目の細かいところは気持ちいいし、荒いアスファルトはわかりますよね。あれ、別に1センチもボコボコしてる差があるわけでなくても、ライダーはミリの単位の振動を感じ取れるだけのセンサーを各自備えているわけで、ドマーネに限らず、ロードフレームの振動吸収性は無視できないわけですね。

 従来は、剛性と振動吸収性は、相容れないというか、トレードオフな部分が大きかったのですが、やはりカーボン素材がこの状況を大きく変化させたことは間違いありません。

 そこからさらに一歩進んで、「ピボットレスで動作させる」っていう発想そのものがすごいですね。ブランドキャンプでドマーネの失敗作も画像で見せてもらいましたが、「これ絶対失敗すんだろ?」っていうものまで作って、試して、「やっぱりダメだったね」ってとこまでやってるっていうのは大きいと思います。


 さて、乗り味についても誌面でコメントさせていただきましたが、低いBBハイトがもたらす「最初のどっこいしょ」フィーリングは無視できない特徴です。が、これはそのあとからの巡航性というか力のかけ続けやすさのための布石なので、僕はネガティブに感じません。むしろプラスだと思っています。

 自転車は、写真で真横からみて性能を説明するケースが多いため、イメージがつかみにくいのですが、乗り物として、船のように左右への動きもあって前に進んでいます。僕の場合、この左右の揺れはイメージを掴み、頭の中にぶっこむまでに結構台数を乗りこみましたが、ヘタレ故に「パワーのあるひとの動きを再現することは僕じゃ出来ない」という壁にぶつかったあとで、「じゃあ自分の範囲では、つねに気にしよう。感じ落とすことがないようにしよう。」といつも心がけています。

 そのなかでもドマーネに乗る時は、いつも同じように感じるのは、「ぬわっと速い」ということです。


 左右へのブレがないというか、揺れているのに前に前にベクトルが向いていて、次のひと踏みにつながりやすいと思っています。
 
 テストライドしてくださったお客様で、最初は 「うん? ちょっともっさりしてるかも?」とおっしゃっていた方が、もう一回乗りに行ったら、「ごめん。全然そんなことなかったわ。硬いわ。」とおっしゃっていたことがあります。2回めは、何回もダッシュしてみたんだそうです。

 実際、フレーム下部は剛性高いですよ。フロントフォークのつま先での振動のいなしがすごくいいので感じませんが、かなりの剛性だと思います。

 カンチェラーラがドマーネを愛用しているのって、彼のような宇宙人レベルの巡航速度で発生する「ブレ」ってものすごい大きいと思うんですね?もちろんそれをまとめきるのがプロなんでしょうが、バイクがこんだけまっすぐぬめっと速けりゃ、どんな状態でもイケる感するだろうな~と思っています。

 キュンキュン速いモーターボート と 大きな戦艦 の違いというか、とにかくいろんな動作へのマージンが大きいのがドマーネの最大のポイントで、先日のインプレでいろいろコメント考えたり、話し合っているなかで思ったのが、

 「これ、ホビーレーサーのヒルクライムタイム 向上させられるんじゃない??」

 ってことでした。上り嫌いの錦織は、すぐヨレヨレになるのですが、多分ドマーネだと、そのヨレヨレが抑制できる設計だと思うんですね。富士ヒルクライムとかで、すごく速い人はまた違うと思うのですが、どうしても2時間きれないとか、トレーニングして序盤は良かったけど、後半に完全にダレちゃったみたいな経験で苦労されている方はドマーネって、結構目からウロコになるのではないかと思うんです。

 この設計だと、乱暴にトルクかけたら左右にヨレただけだったみたいなこと、間違いなく減るでしょう。

 ここ1週間のダブルウィンがあるからというわけではありませんが、ドマーネほんとに面白いバイクです。


 次回の補足は DEFY ADVANCED について書きますね。