昨日はサプライズが続きましたが結果的豪ドルもドル円も往って来いとなりました。
昨日の動きである程度見えてきた様に思います。
一つは既に通貨競争が始まっているという事。
日本当局の介入も含め全てに腰が引けている事が見透かされていること。
日本の弱腰外交が為替に影響する事。米国の追加金融緩和の可能性が非常に高い事。
NYダウの上昇は本格的なものになりそうという事。
ユーロ上昇の余地はまだある事など、色々な事が少しずつ見え始めてきたかもしれません。
まず、言うまでもない事かもしれませんが既に通貨安競争は米国から始まっているという事です。
ユーロはギリシャ問題で昨年末の1.5ドルから半年余りで1.2ドルまで下落しました。
しかし、6月を底に上昇に転じる頃になると米国の2番底懸念から追加緩和の動きが強まりドルが本格的な下落に転じました。
敢えてドル安を誘導する発言は見られませんでしたが、米金利の緩和期待をバックにドル下落が平行して進みました。
NYダウも途中は1万ドル割れの危うい場面も見られましたが金利に連動して底堅い動きが続きました。
しかし、株式市場では金利低下による景気回復期待だけではなく、企業自体の体力の回復により底を固め始めているようにも見えました。
昨日などはISM非製造業景況指数など予想を上回る結果を受け上昇。
これまでの指標の悪化により金利低下⇒株価上昇というシナリオに少し変化が見られました。
米国は中国に対して人民元の切り上げを促し、下院では既に法案が可決しています。
これは自国通貨をこれだけ長く大量の介入で支える中国に対して当たり前の行動といえます。
日本の介入などはこの規模に比べてみると、スムージングオペの領域ともいえます。
これだけ非難を浴びると言うのは日本の政治力の弱さかもしれません。
人民元だけではなくアジア通貨に於いては介入も含め自国通貨安を誘導する動きが見られました。
日本だけが国内の政局混乱などから円高阻止対策に遅れをとってしまったのではないでしょうか。
ユーロにしても昨日トリシェ総裁が「ユーロ高に関しては言う事がある時には言う」と発言。
ユーロドルの現在のレベルは決して高いレベルではないともいえます。
昨年のギリシャ問題の起きる前後の1.5ドルというレベルにいた頃は欧州から為替に関しての発言は何も聞かれませんでした。
その後の欧州の状況が変わったにせよ今のレベルと比較するとそれ程高いと言えません。
もし不満の声が出るとすれば1.4ドルの大台を超えて上昇の加速が強まり始めるとブレーキをかける可能性もあります。
しかし、ギリシャ問題により欧州の財政再建の問題がくすぶり続ける中で、ユーロは口先介入などなくても、寧ろ売られやすい状況などいつ出てもおかしくありません。
今のところドルとユーロの間にはまだバッファーがありそうです。
しかし、ユーロ円でみると135円付近から105円付近まで下落してからの戻しは115円までと戻しが非常に少ない。
ドル円でみると95円から5カ月で83円まで下落し、その動きは介入を実施しても金利を引き下げても止まりません。
ドルの下落は米国が誘導しているのではと思われる所以です。
昨日は米財務省の高官が匿名で日本の為替政策に対し批判的なコメントが流れました。
米国の追加金融政策は昨日、エヴァンス・シカゴ連銀総裁の「大幅な追加緩和を支持する」とのコメントによりドル売りが強まりました。
ここにきて各連銀総裁の発言が相次ぐという事は、それだけFOMC内部で追加緩和実施の動きが本格化してきた証拠ともいえます。
日銀が先んじてサプライズ政策を発したにも拘らず数時間の効果しか維持できませんでした。
こうなると、次の一手はなかなか見られずドル円の下落に歯止めがかかりにくくなりました。
後は介入しか手段がない事になりますが、その介入に対して各国の批判的な意見が出てくると今の菅政権では難しいかもしれません。
今回の中国問題でも明らかのように、民主党の力は世界からみて弱腰政策しかできないと映ってしまったようです。
昨日のドル円は83円を一瞬割込むなど、介入警戒感はかなり低下してきたとみてよいでしょう。
ここで、一気に大規模介入をやるような気迫はなさそうですが、それでも断続的に行っているよとみてよいでしょう。
長くなりましてので、またこの続きは次回に。