昨日は大雪で、ここ川越では10cm程積もったでしょうか。途中から雪が雨に変わったのはいのですが、お陰で今朝は路面も凍り、まずは雪かきに追われての出勤でした。皆様の地域ではいかがでしたでしょうか?
年も変わり、去年の話をすると笑われるかもしれませんが・・・・昨年の11月に、生まれたばかりの赤ちゃんの頭程もある大きなカリンをいただきました。それはまだまだ固く、しかも芳香を放っているので、玄関に飾っておきました。
暮れも押し迫ると、まだまだ香りはいいものの、いささか柔らかくなってきました。
カリンは、お酒に漬けたり砂糖漬け、もしくはジャムにしたりする方が多いようですが、我が家では、ゼリーを作る事にしました。
ゼリーというと、お菓子として、冷たく冷やしていただくもの、またはちょっと固めでグラニュー糖がまぶしてあるものを思い浮かべる方が多いと思いますが、我が家でいうゼリーとは、お菓子としていただくものではなく、クラッカーにクリームチーズと共につけたり、お肉類につけたりして、お食事の中で一緒にいただくものをさします。
果汁に含まれるペクチンは、水分とお砂糖の作用で固まります。また、それに使うお砂糖の量も多く、ゼリーをそのままいただくとかなりの甘さなのですが、クラッカー、チーズやハム、またはローストしたお肉や塩豚のような塩味のあるものにちょっとつけていただくと、どちらの味も引き立ちおいしさが倍増します。
お正月に、我が家ではこのゼリーを、先日ご紹介しました簡単チキンハムと共に、そしてもう一つ、クラッカーにクリームチーズをつけ、その上に以前に作った洋梨のコンポートの薄切りと共にのせたりしていただきました。
このゼリーは、そんなにたくさんいるものではありませんが、あるとちょっと贅沢な気分になり、いつもの食卓を賑やかに彩ってくれます。
カリンと近縁種にマルメロがあります。カリンと同じような容姿をしていますが、カリンより少し丸くて表面に綿毛が生えています。どちらも香りが強いので
すが、若干香りが違い、私の感じとしては、マルメロの方がおいしそうな香りのような気がします。この二つ、似ているので、庭にカリンの木をお持ちの方でも実際はカリ
ンなのかマルメロなのか判らなくなっておられる方も多いと聞きます。
以前はマルメロのゼリーを作ることがほとんどだったのですが、今回はカリンです。どちらも果汁の時点ではちょっとオレンジっぽい色をしていますが、お砂糖を加え煮詰めていくうちにだんだん果汁が透明度も赤みも増し、そして出来上がって瓶の中でさめていくうちに、きれいな深紅になります。他の果物のゼリーではこういう色は出ないので、この宝石を思わせるような深紅のキラキラとした色も魅力の一つです。
我が家では、以前リンゴや柿等でもゼリーを作った事があります。リンゴはペクチンをとる為に利用されるだけあって、大変作りやすく味もいいのですが、色は薄い茶色っぽい感じで地味な仕上がりになり、また、柿は色はやはりリンゴとあまり違わない感じで、その上、元々香りのない果物なのでただ甘いというだけの出来上がりになってしまいました。
ゼリーは、色んな果物で作ることが可能だといいますが、我が家ではその他のものは試した事がありません。しかし、市販のものでワイン、ぶどう、バラの花びらを入れたもの等をいただいた事がありますが、どれも大変香りがよかったので、どうやらゼリーには、香りの強い果物、そして当然の事ながらペクチンが多く含まれるものが好ましいようです。
カリンは漢名を𣘔査(メイサ)といい、これを食べると、むかつきをとり胸焼けを止める働きがあります。また、煮汁は、霍乱(かくらん:吐き下しのこと)や筋のつれたのを治します。マルメロは漢名を榲桲(オンボツ)といい、これを食べると、消化を促し胸焼けをとる働きがあります。(参考文献:国訳本草綱目)
お食事に甘いものを食べるのに抵抗がおありの方も少なくないと思いますが、お肉油もののような少し重いものを食べるときには、このように消化を促したり、胸焼けを押さえるもの等を一緒に食べるのも悪くないのではないでしょうか?
機会がありましたら、ぜひともこのゼリーを作ってお食事として味わっていただきたいです。
このゼリーを作るに際して用意していただくものがあります。
さらし布のように少々目の荒い布で作った袋を一つ。この袋に煮たカリンを入れるので、口が大きく開くものが使いやすいです。また、その袋をぶら下げられる場所を確保する必要がありますので、作られる前にその事に注意して下さい。お鍋は、ジャム作りの時同様、ステンレス、ガラス、ホーロー製の大きめの鍋を用意して下さい。更に温度計(200度くらいまではかれるもの)も必需品です。
カリンのゼリー
材料
カリン 適量
グラニュー糖・・・・果汁600ccにたいして450gが必要
作り方
入れる瓶は煮沸消毒しておきます。
1)カリンはよく洗い、6等分に切り、種の部分を除いて1cmくらいの厚さに切ります。
2)鍋に切ったカリンを入れ、カリンがひたひたに隠れるくらいの水を足し、強火にかけます。
3)沸騰したら少し火を弱め、木製のしゃもじでかき混ぜながらカリンがぐちゃぐちゃになって形がなくなるまで煮ます。水の量は、常にかりんが隠れる量を目安にし、水が少なくなったら随時足して同じ量になるようにします。
4)カリンが完全に形のない状態になったら、用意した袋に入れます。この時、ボールにざるを重ねその中にさらし布の袋を入れ、煮たカリンを入れるようにすると、火傷をすることもなくうまく入れる事ができます。
5)袋から自然に搾られた果汁がボールに貯まるように袋を吊るします。あまり低い位置に袋を吊るすと、せっかく出た果汁に袋が浸ってしまうので、少し高めの位置に吊るします。果汁が袋から完全に出なくなるまでそのまま吊るしておきます。また、果汁は手で搾るときれいなゼリーにならないので、決して手ではしぼらないで下さい。だいたい一晩が目安です。
6)出た果汁の分量を量り、大きめの鍋に入れます。果汁600ccに対して450gのグラニュー糖を用意して、それも一緒に鍋に入れます。
7)鍋を強火にかけ、焦げないように時々木製のしゃもじでかき混ぜ、アクを取りながら煮詰めます。出来るだけ短時間で煮詰めるのが理想ですが、吹きこぼれそうになったら火加減して調節して下さい。
8)とろっとした感じになったら温度計を入れ、110度になったら火を止めます。5分そのままの状態で放置します。
9)煮沸消毒した瓶に入れ、更に20分間脱気します。出来上がったものは、完全にさめるまで決して揺すらないで下さい。揺するとうまくゼリーが出来ません。