お粥は滋養があるのと消化吸収がいいため、病人食として、また赤ちゃんの離乳食としてもよく使われますね。そして同じ理由から、漢方でもお薬と一緒に、又お薬を飲んだ直後にこのお粥から採られた重湯を服用する事があります。

お粥には、全粥、7分粥、5分粥、3分粥、そして重湯があり、それぞれお米と水分の割合が違います。全粥はネバネバした感じで、7部粥、5分粥になるにつれだんだんと重湯分が多くなり、3分粥になると、御飯粒はわずかで重湯が多くさらっとした感じになります。その使い方は、病人にはその病状に合わせ、かなり体力を消耗していたりする場合には3分粥から始め、徐々にお米の量を増やし全粥まで持っていきます。また、赤ちゃんの離乳食として使う場合には最初にお粥の上澄み部分の重湯から始めて行くのが一般的な使い方です。しかし、今は健康の為に一日一食お粥を召し上がるという方も多くなってきたようです。そうそう、お正月に一年の無病息災を願っていただく七草粥というのもありますね。

健康な時に頂くお粥の場合、お米と水分の割合は、お好みに合わせて作ります。また、今回ご紹介するお粥の様にお豆を入れたり、他にお芋や雑穀等を入れたり、お茶で作る茶粥などもあります。

参考までに、お粥を作る場合のお米と水分の割合をご紹介します。
全粥・・・米の5倍量の水    *米1カップに対して水5カップを入れるということです。
7部粥・・米の7倍量の水
5分粥・・米の10倍量の水
3分粥・・米の20倍量の水


中国は北京に近い所の出身の友人の家に泊めていただくと、朝ご飯に必ずお粥が出てきます。一口に中国といってもその領土は広く気候も様々です。この友人の出身地である北京近郊は、内陸性の気候で夏の日中はものすごく暑く、しかし朝晩は気温が下がり、また、冬はものすごく寒いのだそうです。その為、季節を問わず生ものは避け、そして、体を冷やさないようにすることからも、食材は必ず火を通したものを頂くのだそうです。さすが漢方発祥の地、しっかりと漢方が生活に根付いていることを感じます。

その朝ご馳走になったおかゆは白粥ではなく、緑豆が一緒に炊き込んであります。小豆よりもう少し小振りの緑豆。日本では、もやしや春雨の原料としておなじみですね。そして、このお粥と一緒に頂くようにと、色んな種類の炒め物や煮物が所狭しと食卓に並べられ、とても朝ご飯とは思われない光景です。

このおもてなしはこの友人のみならず、どの中国人の友人のお宅で食事をご馳走になっても同じで、食卓にあふれんばかりのご馳走が並びます。これは余談ですが、中国では、何はさておき客人には出来る限りの品数と量で最大のおもてなしをするのが習わしなのだそうです。

ということで、この朝ご飯のみならず、前夜の夕飯もそれはそれはものすごい種類のご馳走が並び、一生懸命頂いても、空になるお皿がなかった程でした。そして、空腹感を感じることのないままでの朝食だったのですが、このお粥は胃に優しく、そしてお粥にのせて一緒にいただくおかずは野菜中心なので、満腹だったお腹にまたさらさらと入っていってしまいました。


ちょっと風邪気味の人がいるので、お夕飯にこの温まるお粥をまねて頂く事にしました。

緑豆のかわりに小豆をお粥にいれ、これと一緒に頂くおかずも野菜を中心に、手持ちの材料で作ってみました。
おかずは全部で5品とスープ。食卓にあふれる程ではありませんでしたが、お腹を満たすには充分な量でした。

おかずには全て胡麻油を少量加えて中華風仕立てにしました。お粥の上にのせ一緒に頂きます。

一緒に頂いたおかずとスープです。

白樺の葉 豚肉の炒め物・・細切り豚肉をさっと湯がき、生姜と長ネギと一緒に醤油煮し、最後にごま油で仕上げます。
葉 大根の炒め物・・拍子木切りした大根を炒め、ほんのわずかの八角と醤油で味付け、最後にごま油少々を回しかけます。
白樺の葉 トマトとナスの塩炒め・・ニンニクを先に炒め、次にナス、最後にざく切りしたトマトを加えざっと炒め塩で味を整えます。
葉 大葉、シメジとピーマンの酢の物・・さっと湯がいたシメジとピーマンに大葉を合わせ、酢、フィッシュソース(ナンプラーまたはニョクマム)と胡麻油、砂糖ひとつまみ、塩を合わせたもので和えます。
白樺の葉 人参とごぼうのごま和え・・人参とゴボウを塩茹でし、白すり胡麻に醤油と砂糖と胡麻油各々少々とで和えます。
葉 スープ・・顆粒中華スープ、わかめ、長ネギをいれ醤油味にします。



あずき 小豆粥 土鍋

材料  2~3人分
小豆    1/2カップ
米     1+1/2カップ 

作り方
1)小豆はよく洗い、小豆がたっぷりかぶる量の水と一緒に鍋に入れふたをして強火にかけます。
2)沸騰したらざるにあけ、再び鍋に戻し、小豆の量の3倍量の水も加えふたをして強火にかけます。沸騰したら、カップ1/2の水を加え、火を弱火にして途中アクを取りながら小豆を固煮します。
3)煮えたら小豆をざるにとります。この時、茹で汁は捨てずにボールに取ります。すぐにボールの中の煮汁を高い位置からもう一つのボールにあけるように、これを2~3回繰り返します。
4)洗った米と茹でた小豆を土鍋等の厚めで大きめの鍋に入れ、小豆の茹で汁と水を合わせて8カップになるようにしたものを加えふたをして強火にかけます。
5)煮立ったら一度底からよくかき回し火を弱火にして、ふきこぼれないようにふたを少しずらして30~40分煮ます。

*お粥の出来上がりの目安は、小豆が柔らかくなりお粥も好みの固さになった所です。また、さらさらとしたお粥が好みの場合は、もう少し水を多くして作ります。
*小豆の煮汁を高い位置のボールから下のボールに移すのは、煮汁を空気にさらして色よく仕上げる為なので、これを省いても味には変わりありません。