『七帝柔道記』 | 大江ゆかりのブログ

大江ゆかりのブログ

平成24年度新司法試験再現答案。
私は『とめはねっ!』に出てくる鈴里高校書道部唯一の男子部員、帰国子女です。
第14巻(最終巻)は平成27年5月29日発売!

増田俊也 『七帝柔道記』 角川書店、2012・8出版予定。

2013・2・28出版。

七帝柔道は、今回の五輪観戦に際して情報収集の結果、もっとも興味をもった1つ。

増田は格闘家中井祐樹の先輩(『VTJ前夜の中井祐樹』 )。


わたしは高校時代、教科書掲載の井上靖「天上の星の輝きとわが心の内なる道徳律」(『わが一期一会』所収、1975毎日新聞社)を読んで「練習量がすべてを決定する柔道」ということばを初めて知りました。

華やかさはないはっきりしたその言葉は、井上が旧制高校時代に全霊をうちこんだ高専柔道を象徴することばです。高専柔道は、寝技を重視し、立ち技を主体とする講道館柔道とは一線を画する柔道です。戦前、京都武徳殿(武徳会)で京都帝大主催で「高専柔道大会」がおこなわれていました。戦後、その流れは、七大戦柔道大会(七帝柔道)にうけつがれています。

井上は、自分が親しみを感じ、作品すべてを読んだ作家の1人です。もっとも、読んだしりから忘れるので、個別の作品やディテールは覚えていません。『北の海』は、井上が沼津中学卒業後、高専柔道と出会い金沢の四高に進学をきめるまでを描く自伝的作品で、『しろばんば』『夏草冬濤』とともに自伝的三部作といわれています。

そして、「練習量がすべてを決定する柔道」は、不可能を可能に変える魔法の言葉であり、青年の未踏の夢を実現してくれる、大望を燃え立たせる覇気に富むアファーメーションでした。それゆえ、高校生の私の心中におのがじしそのおるところを得てしまうことになりました。


わたしが、増田『七帝柔道記』に興味をもったのは、このノンフィクションをわが尊敬する井上の『北の海』の続編に擬する評価に接したからです。どこでみたかは忘れました。

そこで、ほんとうに『北の海』に匹敵するようなものなのかといぶかる気持ちから、五輪観戦のうらで、おもにネット上の情報を検索してみました。そして、たいへん有為な同時代の作家であると思いました(七帝柔道記の世界 )。

『七帝』は、「ななてい」とよむのは、北海道ではそうなのでしょうか。5大学では「しちてい」、江戸では「ひちてい」とよみます。

角川から『七帝』が出ることは、月刊秘伝編集部に電話で教えてもらいました。増田先生の今後の作品にも大いに期待している旨申し伝えました。

わたしは格闘技に明るくないが、増田の作品がつぶさに事実をしらべていることは分かります。

そして、ことばの1つひとつに登場人物や作品のテーマにたいする愛があふれています。事実評価にたいする、じぶんとの見解の相違が感じられることもあれ、もっとこの著者の作品を読んでみたくなる、そんな魅力にぐいぐいい引き込まれます。引込みは井上靖の柔道につうじています。

スーパーローリングサンダー(SRT、遠藤返し)の開発者「京大の遠藤君」を心安立てに声高に紹介している のも、七帝柔道の先輩として天才遠藤が正当な評価を受けるべきだという思いほとばしりでありませう。


92年 NHK「ファイト」での七帝柔道特集

2/6で京大構内を柔道部員が女性といっしょに歩いています。気になります。

5/6、おやじ(名)が川上主将(京)を特異な技で腕を殺し抑え込み1本とります。

公開仕合では主審として才野OBを呼ぶところが本格的です。秋山仁が公開試合を「鈴木(名)は下で寝てて楽だったろう」と評しています。が、鈴木は、下から終始攻めており、片足担ぎ~膝をこえたので、鈴木の足をこえられなかった江森(京)よりも寝技に長じていると見られました。


七大史上最強と呼ばれた甲斐(九)の仕合もYouTubeでいくつか見ました。

中井の試合、大賀の仕合も見た。

中井はひと目でその強さが分かる。

中井は、正対から襟を取って引きつけ帯取り返し、上になってからは襟を極め、脇を取り、肩を極め、手を縛る、大賀の教科書どおりの正当な寝技です。


なお、このブログの柔道ネタはほとんどアクセスがありません。卓球ネタはアクセスがあります(笑)

鈴里高校書道部の大江ゆかりでした(笑) 8月30日、第10巻発売決定です!