車椅子の羽中田氏が来季監督就任/カマタマーレ讃岐 | ブログ

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羽中田さんが来季カマタマーレ讃岐の監督に就任する。


羽中田さんといえばニラコー(山梨:ひでの母校)のエースとして高校選手権で活躍し

将来を嘱望されていたプレーヤーの一人だった。

しかし大学浪人中に交通事故にあい、車椅子生活を余儀なくされることとなった。

選手としての未来が絶たれた羽中田氏は山梨県庁に就職し、長らくサラリーマン生活を送った。

しかしJリーグ開幕後の95年、

サッカーへの情熱が再度湧き上がり指導者の道のりを歩み始めた。

それから12年……。今年ついにS級ライセンスを取得した(※)。

取得には実技試験もあるのだが、羽中田氏の場合は特例として免除された。

これはJFAのよき判断だったと評価できる。


羽中田さんは90年代初頭からサッカーダイジェストなどの専門誌に寄稿していたので

僕もその存在は随分前から知っていた。その頃から将来は監督になりたいと言っていた。

その夢をついに叶えた氏の情熱にまずは敬意を表したい。

しかし、当然夢はそこで終わらない。監督の仕事は勝つことである。

羽中田さんがどんなサッカーを見せるのか非常に注目である。

おそらく就任当初は、自分の理想のサッカーを追い求めたくなるだろう。

スペイン留学経験もあるのできっと華麗なパスサッカーなどを思い描いているのかもしれない。

でも四国リーグを勝ち抜くためにはそんなきれいごとは通用しないことにすぐ気がつくだろう。

四国リーグは、カマタマーレ讃岐と、徳島ヴォルティスアマチュアの一騎撃ちといっても過言ではない。

この2チームの直接対決の勝者が地域決勝に行くことになる。

下位チーム相手に取りこぼしなんて絶対に許されないし、引き分けだって許されない。

それに得失点差も考えて、どの相手にもいっぱい点を取らなきゃならない。

このリーグを勝ち抜こうと思ったら全試合何が何でも勝たねばならないのだ。

星取り勘定なんて発生しない、かなりシビアなリーグである。

どんな不細工なサッカーであっても勝たねばならない。

そこで羽中田氏が、理想と現実をうまく融合させることができるのか非常に興味深い。

監督に必要なのは、戦略よりも、戦術よりも、チームマネジメント能力だというのが

僕の自論である。

羽中田氏が戦術、戦略に走りすぎることになればチームが揺らぎかねない。

何より選手たちの多くはアマチュアなのである。

アマチュアのモチベーションをいかに上げるのか、

ある意味下位リーグの監督はJよりきつい部分もある。

ほとんどの選手が他に仕事を持ってるので、大事なゲームなのに主力が抜けることも普通にある。

練習環境もままならない。

羽中田さんがこれから直面する敵は、ピッチの中だけでなく外にもいる。

難関につぐ難関が彼の前に立ちふさがることだろう。

羽中田さんの印象って人がよくて物分かりがよくて温かくてやさしいって感じなんだよね。

そのキャラのままやってたら多分勝てない気がする。

ときには冷徹なリアリストを演じる必要もあろう。

夢にまでみた監督というフィールドで彼が輝く姿を多くのファンが期待している。

もちろん僕も期待している。

応援してます、羽中田さん。


(※ちなみに地域リーグクラブを率いるにはS級までは必要ない。彼がS級まで取得したのは将来的にJリーグ、代表などで指揮を執る気概の表れだろう。監督未経験者が下部リーグから経験を積んでいくのは良い傾向だと思う。下積みがほとんどなくS級取っていきなりJの監督やって成功してる人も失敗してる人もいるけど、どこかで行き詰まりそう。柱谷、都並、高木、ラモス、健太……)


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ところで羽中田さんって何で高校卒業後浪人してたんだろ。

多くのメディアが彼のことを将来を嘱望されたサッカー選手だったっていうけど、

それなら大学や実業団から引く手あまただったんじゃないのかなあ。

どこからもオファーがなかったのか? それとも全部蹴ったのか?