お寺でのサロンコンサートが、今月の15日に迫りました。
その準備のため、
本日、サロンのピアノと、練習室のピアノの調律に入っていただきました
通常のレッスンで使用しているのは、チェコ製のペトロフというピアノ。
サロンに置いてあり、コンサートで使うのは、
100歳を過ぎた、フランス製のエラールというピアノです。
写真ではわかりにくいのですが、「バードアイ」という木目になっています。
正直なことを言うと。
手間もかかるし、年代物のリスクは当然あります。
そして、アクションも現代ものとは違うため、高速連打などは、
絶対的に、現代ピアノのほうが弾きやすい。
でもね。
それを超える良さが、このピアノにはあると、わたしは思います
フランス人のエスプリ。
そして、当時のフランス人の、哲学。
フランス人の考えた、「美しい音」が、生で体験できる。
精密な、打弦。
高速な音の連打。
それを追求するなら、現代のヤマハやカワイ、スタンウェイの方が勝っている。
でも。
そのピアノたちが置いてきてしまった何かが、このエラールにはある。
このピアノを弾くと。
わたしのテンポ感は変わります。
このピアノを弾くと。
わたしの求める響きも変わります。
このピアノを弾くと。
わたしは、いつも知らず知らずのうちに、微笑んでいます。
わたしは。
このピアノを弾いていると、幸せだな、と思うのです
コンクールに入賞させられる先生は、他にもいる。
凄腕の音楽を聞かせられる、ピアノ弾きは、わたしの他にもいる。
でも、きっと。
私以上に、沢山の、色んな種類のピアノを弾いて、
その美しさを感じてきたピアノ弾きは、そうそういないと思うのです。
わたしが今までに弾いてきたピアノは、
国産では、
・カワイ(SK含む)
・ヤマハ(Sシリーズ、FC、FCⅢ、G3、G5、C3、C7)
・アポロン。
海外では、
・ブリュートナー(1800年代~現代ものまで)
・ベヒシュタイン、
・スタンウェイ(オールド物のニューヨーク製、ハンブルク製のオールド、
現代ものは主にB型、フルコンを数知れず)
・グロトリアン・シュタインビッヒ
・イーバッハ
・ベーゼンドルファー(オールドと現代もの、インペリアルはなし)
・エラール(全て1920年以前のオールド)
・プレイエル(こちらも1910年代のオールド)
・ペトロフ(現代ものМ3)
ただ単に、ピアノの演奏スキルをあげるのではなく、
ピアノの過去から、現代につながり流れる「哲学」や「美しさ」を、
そして、過去にあったはずの、その場所、国、地域の独特の感覚を、
少しでも考えられるピアノ弾きになってもらいたいと思うのです
わたしのエラールを弾いて。
現代とは少し違った美意識を、子供達が体感してくれれば、と思うのです
「わたしの道楽ですから」
と、笑ったわたしに、調律師さんは、
「素晴らしい道楽です」
と、言って下さいました。
ありがとうございます