高野山 大門
高野山は言うまでもなく平安初期に空海が開いた。
山上は不思議なほど平坦である。
そこに一個の都市でも展開しているかのように堂塔、伽藍、子院などが棟をそびえさせ、庇を深くし、練塀をつら
ねている。
その大道の出発点には、唐代の都城の門もこうであったかと思えるような大門がそびえているのである。
大門の向こうは、天である。 山なみがひくくたなずき、四季四時の空虚がひどく大きい。
大門からそのような空虚を眺めていると、この宗教都市がじつは現実のものではなく、
空に架けた幻影ではないかとさえ思えてくる。
司馬遼太郎
紀ノ川 ・・・・・ 和歌山です。
わたくしいつも持ち歩いているお守りがございまして、
今までも、危険なスピードで何度かクラッシュなどしながらも、
何故か?ほとんど無傷で来られたのはこのお陰じゃないかと?
その荒神様の神社が神々が住まうという紀伊半島は高野山の近くにございます。
三大荒神の一つなのですが、その中でも一番山奥に位置する場所にございまして、
久しぶりにこの地に参ろうと心に思っておりました
この辺り一帯は世界遺産にも登録されていますし、
かの地に至る道はリタイア者続出で有名な吉野グランフォンドコースを一部にもなっておりまして、
そんなコースの雰囲気も見てみたいとの思惑もあってのことです。
南海高野線
橋本から先、高野山の手前ロープウエイ発着場所の極楽橋までは単線がコトコトと引かれています。
紀ノ川を渡ると、最初は九度山など高野山への古い参道沿いを走り、
その後は急峻な山の中の谷に流れる川沿いを沿うように高度を上げていきます。
僅か10km程で高度600mを登っていく訳ですから謂わば山岳列車とよんでもよい路線です。
九 度 山
ティピカルには高野山に至には国道のR370を使って至るのですが、
やはり、雰囲気ある古道を辿りながら高野山に至りたい。
京都や大阪から高野山にいたる古い参道=高野街道を走るルートをとる事にいたします。
国道を離れ古い町並みが残る急峻な細い山沿いの道にはこの辺りの名産である柿の栽培が行われていて
九度山の小さな頂に登りつくとそこからは、高野山に繋がる峰峰が広がるばかりである。
約45°= 100% w
舗装はしてあれども、地元民以外を拒むような道が続いています。
新緑と湿った空気のなか汗をほとばしらせながらも、古道の雰囲気を楽しみつつ・・・・
関西の国道は、結構怖いしこういう探検気分な道を選んで走るのが大好きなものでどんどん突入します。
山の中を走ってる内に人っ子一人とさえ出会わなくなりました・・・・
かなり寂しい山の中を走り景色が開けたそこには棚田が山肌にへばり付いて広がっていました
棚田とシュロの組み合わせ、そして湿った空気がまるでインドネシアのようで紀伊の南国気分を演出してます。
シュロの皮からとれる繊維を使ったタワシは高級品として和歌山の名産物です。
ついに電柱が無くなり、この先民家がないことをしめしています。
二本線は車が通った二本線だけが心の拠り所と思いきや
車が通行している跡というよりは単にそのように舗装が施されていると言うだけのことで・・・・
間もなく舗装も無くなり、とにかく心細い ・・・・ と言うか何か怖い。
視線を感じるような ・・・・・ そんな怖さ
世界遺産に登録されたのは神社や寺院のみではなくそこに至たる参道、周りの森林なども含まれていて
「道」が世界遺産として登録されたのは
スペイン~フランスにまたがる巡礼道「サンディアゴ・デ・コンポステラへの道」についで2件目だそう。
結局、この道を走る1時間強の間誰一人とも出会うこともありませんでした。
なんだろ? 神奈川あたりの山の中で一人とも違う何かゾゾゾゾする怖さに耐えきれず、
自ら奇声を発したり、パンクの危険を冒してまでダート道さえハイペースで下りました。
ダート路を数㌔踏破しやっと舗装路に出て来た。
今まで、チューブレスタイヤについてはひび割れやらスネークバイトなど
ネガティブ情報を沢山出してきた気もするけれど、
乗り心地、パンクフリー(シーラント入り)等、クリアしたい要件を備えていることから、
このようなダート路などハードな道程が予想されるツーリングでは迷い無くチューブレスを選択いたします。
今回も、このタイヤでなかったら怖いダート路をそろそろと押し歩きする羽目になっていたでしょう・・・・
大 門
宿 坊
冒頭の司馬遼太郎の文章そのままに、
急峻な山道を走ってきたその印象からすると高野山の山上は違和感を感じるほど平坦である。
山門からの大道は今は観光バスが行き交い雑然とした雰囲気になってしまっているが、
一歩横にはいると金堂、大塔を要した伽藍の他、50以上の宿坊を備えた寺院が軒を連ねており
幽玄な雰囲気を醸し出している。
観光協会曰く宿坊に泊まる外国人も多くて、道理で道を歩く西洋人も多い。
私が小学生の頃林間学校で宿坊に泊まった頃とは全く違った雰囲気に驚いた。
金 剛 峯 寺
高野山全体を総括し、真言宗の総本山である金剛峯寺。
石庭と言えば龍安寺位しか思い浮かばなかったのですが、金剛峯寺にある石庭は日本最大の大きさとか。
門の前に白のお遍路装束の方が写っていますが、恥ずかしながら初めて知りました。
四国八十八箇所巡礼を回りきった後に高野山奥の院に詣でて 『満願成就』 すると言う考えがあるそう。
随分お遍路さん姿の人が多いなー?と思っておりましたらそう言う理由でした。
『ケツネうどん』 と 『バッテラ』
『キツネ』 ではなくあくまでも 『ケツネ』 と発音するのが正しい。
そして、バッテラは紀伊半島沖熊野灘の鯖を使ったもの。
『精進料理でも食うか』 ・・・・・ と思っていたけど、こんな組み合わせが可能ならこれしかない。
なんとも関西人に産まれて良かったと思う組み合わせである。
バッテラを口に放り込んで出汁が効いたうどんの汁などを飲みつつ、うどんも食ってみたり。
二品しかないのに、見事な三角食べトライアングルが完成している!”
だからといって、この組み合わせを置いている店はそうはないわけだが・・・・
食事のあとの甘味は金剛峯寺近くの甘味処 『かさ國』 にて名物のくるみ餅を戴く
『中で食べていきはったら?お茶もサービスしてますよ』 関西弁のやりとりが心地よくって
思わず店内でw
きな粉とくるみの香りがほんのり甘いもちと合わさってゴッツイウマイねんー
一の橋からは苔むした中世以来の墓地には、伊達家、島津家、前田家 など
戦国時代から江戸時代に掛けての沢山の大名が敵味方無く祀られている
全墓標の40%が大名墓だそう。
この道を歩きその先には奥の院
僧空海が今も生ける人として四時勤仕されている
南無大師偏照金剛 ・・・・ お遍路さん達はこの言葉を唱えながら修行を積まれてます。
高野山お参り&腹ごしらえも終わって吉野グランフォン度コースの一部を走ります。
弘法大師が真言密教の布教の為中国の五台山を擬して日本にその聖地を求め紀伊の山々を歩き回り
八葉連華の峰峰に囲まれた絶好の聖地を見つけられたそうだが、本当に山深い場所。
神奈川における富士山のようにランドマーク的なものもないからひたすら山々が続くイメージ。
『 立里(荒神社) 』 の看板が見えてきた。
既に十分な山の中の中ですが、更に激坂に見える枝道を左ヘ最終目的地 『こうじんさん』 へ
平均斜度10%の強坂で高度をグングン上げていくと
ちょっと信じ難い霧&気温低下・・・・・
その後は鳥居が続く参道を脚で登っていく。
4°!!!!!
温度計故障じゃありません。 霧で体は濡れるし夏ジャージ&レーパンではとにかく寒くて、震えるのみ
やはり神々が宿ると言われる土地
この立里の地は局地的にその周りの気候とは全く違うものだという。
地元の人に聞くと真冬は、-20°になることもあるとか?
『たった標高1200m程度の紀伊半島でそんなことがあり得るのか?』
などと疑いを持っていたが、えらい急激に気温が下がってきてブルブル震え出す。
新緑が芽吹き、湿り気を帯が空気が入り込んでくるこの時期でさえ4°!!!!
実際のところ、
この辺りに住む人は本当に 『 神々が住む場所に住まわせて頂いている 』 と言う意識で生きている様である。
何か神聖なものを感じるのでした・・・・
山を降り ・・・・ と言っても300m程
まるで気候が違う。 さつきが咲き少しの登りで汗が吹き出す。
高野龍神スカイライン
帰りは野迫川経由でR371の高野龍神スカイラインで高野山まで戻る。
道はいいし車は少ないし、快適な下り基調の道。
この道を逆方向に行けば熊野神社~那智方面まで行けるんだよなー 時間があったら・・・・・
高野山を華麗にスルーして南海高野線の終点の極楽橋まで更にダウンヒル
こんな場所を走る単線とは ・・・・・ やっぱり山岳列車です。
こうや4号
高野山にいたる一番近い鉄道駅が南海高野線の極楽橋駅まで降りてきました。
余りにもお腹が減って ・・・・・ そしてお腹は完全にあの店
よって、南海特急で帰りはこの地から都心にひとっ飛び。
1600円、1時間半足らずで帰還
P V
ツーリング後は南海特急で都心まで瞬間移動し、メチャクチャお気に入りの店へ
北浜駅の上のPVってイタリアン。
『関西のイタリアン? ハイハイ』 って思う人も多いかもしれないけれどそんな人こそ行って貰いたい。
ちなみに写真は、口直しのシャーベットを作っているところ。
生搾りオレンジジュースに液体窒素を注いでフワフワモチモチのシャーベットを目の前で作る演出
お口直しシャーベットでさえここまでやりよる。
演出だけじゃなく、食材も、料理もすべてが客の感動の為に供される。
何度か行くと、前食べたものまでチェックされていて被らない様にメニューを組んでくれはる。
グランメゾンのサービスと内容を、東京で言えば場末のちょっと逝けてるイタリアン程度の価格で頂けます。w
今回はたった一日だけの行程でしたが、
いつかは熊野神社、那智大社、伊勢神宮など紀伊半島の古道を巡りつつ
海の幸、松坂肉なんぞを絡めながらゆったりと泊まりながら大人のツーリングと行きたいものですw
今日もありがとう