今度の定期演奏会で、ドボルサークの
チェロ協奏曲をやる。
ソリストはミッシャマイスキー。

もちろん、世界を代表するチェリストであり
彼の生の演奏を、ドイツ留学中に
聴いたことあるけど、彼の音楽には、
<祈り>のようなものを感じ、
音楽は本来、そういうものなんだ!
と感動したのを覚えている。


私にとって、マイスキーのドボルサーク
チェロコンチェルトは、
私の<人生の原点>であり、
<出発点>でもある。
 

まだ、私が東京の大学を卒業し、
アルバイトでミュージカルのオケを
やらせていただいていた頃、
国立音大の先輩でもあり、
私が尊敬する師匠のような存在でもあり、
何も分からない私に、
ほんとに、いろんな大切なことを
教えて下さった、中谷望さん。


あれは、ミュージカルの本番が終わり
いつものように
新宿コマ劇場の近くの居酒屋で
打ち上げしたあと、
オーボエのMさんと一緒に
中谷さんの御自宅に、
深夜に遊びに行き、
奥さまも付き合ってくださり
ずーっと、いろんなCDを聞かせて
下さいました。

その中でも、よく覚えているのが
マイスキーのドボルサークの
チェロコンチェルトのCDで、
それを聴きながら

音に命を吹き込むこと。
責めの姿勢でいくこと。

そして、何よりも、音楽を感じること。

ここでこういくから、
この演奏は素晴らしいんだ、
とか、いろんな事をおっしゃりながら
時を忘れて聞き入った。

そういう思い出の曲。

そして、その夜が.私の中で
<音楽を聴くということの面白さ>
を初めて知った、
人生の出発点とも言える夜だった。

今は亡き中谷望さん。

サザエさんの、オープニング曲の
フルートは、中谷さん。


今も、私は心から感謝している。

やはり、人生のなかで
本当に大切なのは
<人との出会い>だと
つくづく思う。