サン・ジャックへの道 ガイドに導かれ、老若男女8人がサンティアゴ巡礼の道を歩む。その道程を通して彼らは人間的に成長する。口論は絶えず、時には取っ組み合いながら、苦楽を共にして友情も芽生えた。とりわけ仲の悪かった兄と妹も雪解けが来た。いびきのうるさい3人組が宿の隣の部屋をとったと知った兄はジュクコウの末に妹の部屋をノックしようとし、妹はノックを聞く前に扉を開けて兄を迎え入れる。そほれほどまでにいびきが嫌なものなのかと、女流監督コリーヌ・セローの心中を察した。きっかけを与えるにふさわしい事柄にされたことが「いびきがうるさい」と言われる身にとって辛い。こっちだって好きでいびきをかいているわけではないのだ。

細かく刻むシーンととたびたび挿入される彼らの見る夢の映像が、スローライフ的な映画という想像を覆す。根本が解決するわけではない。心を無にする、または新たな価値観を知ることで彼らは非日常の過酷な巡礼で、それぞれ持つ日常生活での苦悩が角度を変えれば些細なことに見えてくる。


cococo 」あかん隊さん、「レザボアCATs 」とらねこさん、「瓶詰めの映画地獄 」栗本東樹さんと鑑賞。4人で見る機会なんて何年ぶりか記憶を探っても思い出せないくらい昔の話で貴重な体験だった。民族、年齢、環境の異なる9人の旅路と僕ら4人の境遇もどこかリンクしているようで楽しい。手近なところで四国遍路も興味がある。