日本製少年 本籍、出生地、現住所は全て違うが、永く住んでいた埼玉には愛着がある。つまりは千葉にはライバル心がある。東京、神奈川に次ぐ関東ナンバー3の座という、どうでもいいこと極まりない覇権争いは僕の中で永遠に続いている。埼玉サイドから見た千葉は、あくまで偏見だが、湾岸部の埋立地や工業地帯や京葉線のプラットホームがあまりに人工的かつ威圧的で足をすくませる。それと車で走っていると必ず一度は道を間違える。またディズニーランドは、あくまで最も嫌うものという個人的見地からだが、上塗りされた笑顔の奥に怯え、しかも彼らは揺るぎなく、なるべくなら足を踏み入れたくない。及川中はそういった僕の感情を見透かしたように千葉を映し出す。

父親を殺そうとした少年・大和が職を探している時、テッィシュ配りをする少女・薫に出会った。薫とティッシュ配りに興味を持った大和はその仕事を紹介してもらうことにする。その会社の社長は売春やトルエンなども手がけ、小規模な社会を築いて絶対的な立場にいる。かつてディズニーランドの掃除夫だったが規定のもみあげの長さから逸脱したためにそこを追われた大和、彼は家族からも逸脱し、その社長の下でトルエンを捌くことになるも銃で客を殺めて追われる身となり、薫と二人で逃げた。行き場もなくただ逃げる。

風景が荒涼としているように見えるのは無機質であるがゆえ、その中で若い男女の行動は意味もなく、しかしクライマックスでそれまでの振る舞いはリンクした。得体の知れない恐ろしいもののアイコンのごとく、夢の国のアトラクションが背後にある。ウォルトが怖くて仕方ない。