マフィアのボスの座を二人の男が争う。裏社会といえど民主的な選挙があり、収賄は表社会と変わるものではなく、それによって中盤に差し掛かる前に一旦の決着は着く。多数決によりロクがディーを抑えたが、会長の象徴である竜頭棍を巡って事態は急を告げた。
ディーには女房がいる。ロクには息子がいる。ディーは力のみを信じる無法者だが絶対的な強さとカリスマ性があった。ロクには派手さはないが仁義に暑く信頼されていた。対照的な彼らの生き様をまず提示する。その対比軸と香港の世情を絡み合わせ、スリリングな展開が続いた。警察はマフィアの力の拮抗を望んでいる。内部抗争は好まれない。
上には重鎮、下には若い衆がいて、どちらがよりそれを巧みに操るか。ディーが自分へ投票しなかった幹部への報復を始めた時、竜頭棍を持つ現会長のチョンガイは混乱から逃れるためにそれを中国本土へ運ばせた。相手より先にそれを手に入れるべく、ロクとディーは互いに根回しをする。卓を囲む幹部の命、または討たれたボスへの義で構成員は奔走する。まとめたのはロクだった。
銃は一切使用されない。あくまで原始的な手法での暴力は伝統、保守の流れを重んじる。そしてまた時代は繰り返されるのだろう。