みえない雲 映画が切り取った時間はハンナが転校生のエルマーと急速に接近し、その間に原発事故が起こり、二人はくっついて離れてくっついて離れてくっついて、数々の不幸が彼女を襲い、そこから立ち直るまでで、とり立てて長い期間ではない。淡い青春物語が一転してパニックムービーになってからはその長くない時間が細切れにされてリズムが悪いが、ハンナの経過と心情の変化を見せるには必要なことだった。

原子力発電所は全く映し出されない。警報のサイレンによってハンナの通う学校は騒然となり、のどかだった片田舎の街も風におののいて秩序が乱れ混沌とし、瞬く間にもぬけの殻になる。恐怖のシンボルは黒い雲だった。

原発事故なんて身近ではなく、劇中の彼らのパニックぶりがピンと来ない。チェルノブイリに対する認識の浅さは遠く離れた日本人として仕方のないことと自分を許すか、現実味がないという無知を戒めるか。温度差が怖い。

温度差はエルマーについても同じで、覚えているだけでも3人がその名前を変だといっていた。「エルマーのぼうけん」も「ぞうのエルマー」も作者は英語圏で、ドイツではめずらしいのだろうか。なぜそこを押すのか分からない。

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