1作目から翻って若かりし頃のヤンとラウ、ウォンとサムの交錯するそれぞれの運命、シンメトリカルな因果応報が描かれる。ノワールは健在だった。
ヤンが警察学校を除隊させられたのは、マフィアのハウが異母兄弟だったことが判明したからだった。そんなヤンをウォンが拾い、ハウの下に忍び込ませて潜入捜査をさせる。ラウも同時期、警察学校にいた。ボスであるサムに命じられてスパイとなる。香港はイギリスから中国に返還される激動の時代。マフィアのドンであるクワンが殺され、風雲急を告げていた。
クワンの次兄ハウが跡を継ぎ、4人の幹部は代替わりを機に上納金をためらった。しかしハウは辣腕ぶりを一瞬にして見せつける。4人が一堂に会して食事中、1本の電話で彼らは核の違いを知らされた。その場に立ち会った同じく幹部のサムは静観を決め込んでいた。クワンが死んでからちょうど4年後、4人はハウの手により同時刻に粛清された。サムにも魔の手が忍び寄っていたが、妻マリーの助言により難を逃れる。それぞれのシーンの緊張感たるや、カットを短く刻んで場面を切り替え、暴力が連動した。クロス・カッティングは他にも多く見られ、複数である主人公が偏りなく丹念に掘り下げられている。
ハウの逮捕に心血を注いでいたウォンだったが、相手のほうが一枚上手で窮地におとしめられた。ウォンの苦悶は続く。その部下、ヤンもまた苦悩を受け継ぐ。それは前作で知っていること。生き残っているラウにも次作で降りかかるだろうこと。