レズビアン・バーでバッキー・ブライカート巡査がマデリンを見た時「ここで最も美しい女性だった」と言っていたが、その受け口が個人的にはそう思わせない。ヒラリー・スワンクの口角に我の強さをにおわせる。「二人のスーパー・コップに」囲まれて暮らすケイの唇が腫れぼったい。スカーレット・ヨハンソンを個人的に美人とは思わないが、横幅が狭く立体的な口に噛みつきたい。
ブライカートとブライチャートは共にボクサー上がりの刑事で拳を交えたことがあり、捜査課の名コンビとして知られる。ブライチャートの恋人ケイと3人で生活していた。奇妙だがバランスは取れていて、それを一変させたのは女優の卵の変死体だった。口は耳まで裂かれ、胴体で分割されていた。事件にのめりこむブライチャート、彼とケイの過去をブライカートが語る。40年代のアメリカはグラマラスだった。
「L.A.コンフィデンシャル」のジェームズ・エルロイ原作、「アンタッチャブル」のブライアン・デ・パルマ監督とあっては期待せずにはいられなかった。謎解きやつじつま合わせをスマートに見せることは難しい。その演出は手腕の見せどころ。後半にかけていかにトーンダウンさせないか、ステレオタイプと戦ってもらいたい。