ソウウツシニアの運転能力が低下していることに気づいてしまった。注意力が散漫なのはコンディションによるものだとしても、周辺視野が狭いのは言い逃れできない。彼はその技術に自信を持っていた。

免許を更新した時、講習は聞いていなかったが、テキストのイラストは眺めていた。高齢の夫婦が車に乗っていて、夫の荒い運転を妻が心配げに見ている。頑固な爺が過信しやすく認めたがらない傾向にあるのは頷ける。ソウウツシニアも多聞に漏れずその口だろう。敢えて「運転が下手になったんじゃないの」と濁さずに注意した。「うん」小さくなったが認めた彼を誇りに思う。