神々の深き欲望 南海のクラゲ島は、集落の石垣や伝統民謡から琉球の小島だと推測されるが、そこには因習とも呼べる古くからのしきたりが多くあった。神を崇めおののきながら島民は暮らしている。日照りが続き、クラゲの民の生活は苦しい。開発をすれば島は豊かになるが、古くから伝わる風俗に囚われた彼らは、近代化の享受が難しかった。また島を出たいという願望を持ったとしても、因習に阻まれたり、本能で残ったり、島民の心理は因果とも負の連鎖ともとれる。

島の神に仕える一族として太家は、しかし近親相姦の血を含み、島の人間から侮蔑された。現在の太の長、山盛は出戻りの娘とでき、根吉とウマが生まれた。根吉は妻との間に亀太郎とトリ子をもうけたが、その妻と死別してからは妹のウマと怪しい。亀太郎とトリ子の関係も島中で噂された。ウマはノロと呼ばれる巫女で、切れ長の目とふくよかな肢体が色欲をかき立てる。演じた松井康子がピンクで名を馳せたというのも頷ける。トリ子は頭が弱く、太い眉毛とエキゾチックな顔で常に男を誘う。沖山秀子は銀幕デビューでその役を射止めた。

今村昌平の作品を多く見ていないが、エロチシズムを前面に出しているように感じる。カラーを存分に利用してその艶やかなこと。海と山の生物もまた官能的に映した。人間結局最初、つがいの男女から生まれた子たちがまたつがいになって、最近までの皇族よろしく近しい人と交わって、タブーも何もあったものではない。