歯が欠けた。しかし、歯科を代えた
。ここはハイ・テクノロジーを駆使している。レントゲンの他にカメラでも写真を(両の口角を広げるツールを装着させられた間抜け面で)撮り、診察台の脇にあるモニターと直結して、その画面に歯が現れる。無精髭がアップで写って気色悪い。唾液で濡れた口内も目を背けたくなる代物だ。最もグロテスクなのは、僕のヤニで黒ずんだ歯。大きく見せつけられると凹む。
被せた銀歯の脇から虫歯が進み、予想以上に侵食されていた。神経を削るかどうか次回に判断するという。左上、奥から3つ目の銀歯を外すと、そこはごっそりなくなっていた。歯科助手は相変わらずミステリアスでそそるなど、そんな悠長な妄想もかき消された。