蛇女 明治初期、封建社会と民主主義の狭間で、地方の豪族は時代の波に逆らう。地主の大沼家は小作人を人間として扱わない。借金に苦しむ弥助は「土を食ってでも借金を返すから」と畑を返してもらえるよう大沼長兵衛に懇願するが、取り合ってもらえず失意のまま病死する。弥助の妻のすえと娘のあさは長兵衛の屋敷で住み込みながら返済することになった。栄養が足りていないだろうと、すえは卵を盗みそれをあさに渡すが、長兵衛の妻にばれて炭を食わされる。立場を利用されてすえは長兵衛に、あさは長兵衛の息子・武雄に言い寄られる。

二人はよく仏壇の裏でランプを磨くことを命じられる。神の裏、宿す光が何かを案じているようだった。体を壊すも無理を強いられてすえは病死し、あさもまた傷物にされて自殺する。あさと婚約していた小作人の捨松はそれを知ると怒りに身を任せて大沼家に単身乗り込むが、返り討ちにあった。持たざる者の無念が蛇に姿を変えて、大沼一族を苦しめる。

中川信夫の誕生日ということで、彼の助監督を何度か務めた坂下正尚がゲストとして登場し、トークイベントがあった。中川監督が亡くなってからも中川組は酒を酌み交わしているという話を聞く。撮影時、監督はスタッフに手紙をしたため、毎日それが手渡された。役者にはそのラブレターはなく、裏方を大切にする姿勢が今日の繋がりに至っているようで、氏は誇らしげだった。