“自由”では目を閉じて気づかず、“平等”でその存在を確認し、“博愛”にてゴミを捨てる小柄な老婆の手助けをした。クシシュトフ・キェシロフスキのトリコロールが完成する。象徴の色は前2作に比べて直接的、ふんだんに使われる。
大学生のバランティーヌはモデルをしている。カメラマンに要求された悲しげな横顔は街の大きな広告に使われた。遠距離の恋人から毎日、執拗に電話がかかってくる。若く美しい才女は大きな挫折を知らないように見受けられる。偽善と紙一重である博愛主義を振りかざした。犬を轢き、飼い主である初老の男性・ジョゼフと知り合って物語は大きく動く。卑劣で違法と自覚していながら平然と盗聴を繰り返す彼は退役判事だった。
盗聴している人間の中に弁護士を目指すオーギュストがいた。年上の女性と付き合っている。ジョゼフは、その彼女がオーギュストにふさわしくないという。程なくして彼はふられた。
ダランティーヌが乗った船が転覆した。生存者は7名で、ジョゼフはテレビでその名前と顔を見る。次々と映し出される彼らをジョゼフは知らないが、映画の受け手である僕ら観客は、それが誰だか知っている。「青の愛」「白の愛」の結実が見られた。その後、ダランティーヌとオーギュストが映る。ダランティーヌの横顔が街の広告と一緒だった。