フィッシュマンズは好きだが完全な後追いで、彼らに対して僕よりも思い入れが強かったり詳しかったりする人は周囲にも大勢いて、おこがましくてとても選曲などできない。密かに聞くぐらいだったが、佐藤伸治生前の貴重な映像に興味があった。
原田郁子、UA、永積タカシ、キセルなどをボーカルに迎えてフィッシュマンズがリユニオンした。昨年のツアーの模様と、彼らが活躍した90年代の映像がリンクする。カメラワークはおよそ映画とはいえない、これで金を取っていいのかと思うほどひどかった。しかし佐藤伸治の歌は幸せである。豪華な歌手陣はやはりというかどうしてもというか、違和感が生じる。しかし茂木欣一がライブ後に「気持ちよかった」とコメントするならば、それでいいのである。
豪華なのは他の出演者もそうで、茂木や柏原譲のオリジナルメンバーの他にASA-CHANG、沖祐市、HONZIなどが名を連ねた。ライブ映像以外でも竹中直人が下北沢の街を歩き、大森南朋が東急世田谷線を辿って、いかにフィッシュマンズが多くの人間に影響を与えてなお愛されていたかが分かった。
タイトルにもなった“The Long Season”では山崎まさよしがマイクを取り、ライブパフォーマンスをノーカットで映した。それ以前の映像は、これに繋げるためのごとく、音楽が胸の中でいつでも鳴っている。