ネットの低いセパタクローのようなスポーツをして、兵士たちはつかの間の休息を楽しんでいる。コートには朝鮮半島が描かれ、ネットによってそれは南北に分断された。彼らは北側からのスパイ侵入を防ぐため、海岸線を警備する。“夜7時以降の侵入者はスパイとみなし射殺する”浜辺にそう記された看板が浜辺にあった。
カン上等兵は迷彩を施して任務に燃えた。顔をカムフラージュすると、白目が際立って異様に鋭く見える。彼を演じたチャン・ドンゴンの眼光が鋭く、狂気を帯びていた。夜、海岸にて淫行するカップルをスパイと見間違えて、カンは容赦なく引き金を引いた。上になっていた男は凶弾に倒れ、とどめの手榴弾で四散する。下になっていた女・ミヨンは顔を怪我しただけだったが、気が狂う。カンの狂れ具合もこれを機に本格化していった。
適切な判断として、誤認による射殺でもカンは表彰された。縦社会や隠ぺい工作など軍のあり方を見つめたのは、監督キム・ギドクの5年に及ぶ海兵隊経験によるものに違いない。狂気を生んだのは南北分断と軍気質にあるような、そう語っているように見えた。ラストシーンでは先の朝鮮半島を分かつネットがストップモーションと共に消える。