かえるのうた キョウコと朱美の性格は正反対だが、漫画喫茶で出会ってから互いを意識し合うようになる。二人は外見から価値観まで対照的だった。無頼に生きてきたキョウコと、そのキョウコの家と恋人の家とを行き来する朱美。カエルのグッズを集める朱美が雑貨店でカエルの着ぐるみをみつけて購入する。どちらかが「帰る」場所において岐路に立つと、どちらかがこの着ぐるみを身につけた。

ピンク映画として絡みが何度もあり、キョウコと朱美で差異がある。それぞれの特徴を生かしているようだった。スレンダーでシャープなキョウコは直球のやらしさを映し、ロリータチックでグラマーな朱美は体の小ささを強調した映し方がやらしい。

朱美がラブホテルで入浴しているシーンで、僕は山下敦弘の「ばかのハコ船」で主演女優の入浴シーンを思い出していた。かたや狭くて生活感がある家庭の風呂、かたや広くて無機質なホテルの浴室。共通点は乳房が見えた以外、特にない。その後、キョウコの部屋のコルクボードに張られてあったもので、シロー・ザ・グッドマンと「エデンより彼方に」、それと「ばかのハコ船」が確認できた。何たる偶然、だから何だと言うなかれ。

ポレポレ東中野は久しぶりだった。劇場を出るといまおかしんじ監督と朱美を演じた向夏がいた。舞台挨拶はないはずで、実際に何もなかった。スクリーンで濡れ場を演じた女性がそこにいると、シネ・ラ・セットでのトークショーの時もそうだったのだが、むしろその女性より、その女性を凝視している自分の顔が見たい。意識下で顔から足まで舐めまわすように、果たしてどれほど猥雑な視線を僕は送っているのだろう。