シン・シティ アメリカンコミックを読むことはないが、悪役も含めてキャラクター設定に惹かれたりする。これだけの大御所キャストを集めながら、皆が原作に忠実なフィギュアを再現させる。構図もコミックの要素が強かった。モノクロの中でシーンに一つ原色を混ぜて、それが効果的である。

欲望が渦巻く無法地帯、罪の街“シン・シティ”で繰り広げられる3つのエピソードが綴られる。不惑を迎えた41歳クライヴ・オーウェンasドワイト、天命を知ろうとする49歳ミッキー・ロークasマーヴ、天命を知った50歳ブルース・ウィリスasハーティガン。彼らがそれぞれのエピソードで中心を成した。愛すべき武骨なダンディズムは甲乙つけがたい。堕天使を守るために立ち上がった、大人の色気すら陳腐になる3中年の生き様を軸にストーリーが展開する。

僕は好きな女優というのが特にいない。男優は演技やりすぎのラインをぎりぎりで超えない、もしくはちょっと超えてしまっているあくの強さが、それはまさに感性の違いで、癇に障るそれと思い入れを強くするそれの二極化する。ベニチオ・デル・トロの脂っこさは好みとするところで、死んでなお強烈な存在感をアピールする今回の役どころジャッキーボーイは本作の中で最も焼きついた。

「デスペラード」「スパイ・キッズ」に続いて、ロバート・ロドリゲスは本作も3部作にするつもりだろうか。続編の話は既に進んでいるらしい。主要登場人物の半分近くが死んでいるが、原作コミックにはまだ特殊なキャラクターが映像化を待っていそうである。