大阪・新世界で将棋の真剣師を生業とする飛田が、プロの棋士と勝ち抜き戦を行っている。飛田と幼馴染の香山は将棋連盟に席を置き、プロ棋士を目指している。手段を選ばず勝ちに行く飛田を香山は蔑むが、彼もまた往生際の悪さで勝ちに執着する。将棋の裏の世界で生きる飛田と表の将棋界で生きる香山、彼らと戦う打ち手たちも皆、将棋を甲斐として賭けてきた。
対局のシーンには多くのアングルを用いる。様々な視点で盤と棋士を捉え、一進一退勝負の波や心理描写を表した。博打将棋にこだわりを見せる飛田だが、金にならないプロとの対局で自らのアイデンティティーを形成する。
新作「亡国のイージス」が公開中の阪本監督と、監督作「空中庭園」の公開を控えた豊田利晃脚本の作品を2本借りてきたが、もう1本のほうは本編ではなくそのタイトルのPVのようなものを借りてきてきてしまった。単に僕が確認を怠ったのか、レンタルショップが入れ間違えたのか。後日、クレームをつける予定である。
阪本-豊田のホットラインが綴る大阪にはリアリティを感じる。ディープな新世界とその界隈の人間模様がおかしみと哀愁を漂わす。飛田の扇子に書かれた四字熟語、関西人の堂に入ったノリは天晴れだった。