バッド・エデュケーション 監督にペドロ・アルモドバル、主演にガエル・ガルシア・ベルナルとスペイン語圏の脂の乗り切った二人が満を持して組む。といったところだろうか。アルモドバルの作品にはよくゲイが出てくると思っていたら、どうやら彼も同性愛の気があるようだ。半自伝的な映画ということで、ここにきてカミングアウトした。

若い映画監督エンリケの前に現れた、幼馴染だと名乗る美青年イグナシオ。二人の禁断の愛と隠された秘密が暴かれる。寄宿学校で惹かれ合うがイグナシオを偏愛するマノロ神父によって引き裂かれた少年期、再開を果たすもイグナシオが本当に彼かどうかエンリケが疑いをかける現在、イグナシオが持ってきた脚本を撮影した映像の3部が交錯する。少年期はイグナシオ、現在はエンリケの視点で語っていた。

欲望と復讐と愛が渦巻いている。3役をこなしたガエルが、男性としても女性としても美しい。愛し、愛される人間とはかくも妖しい。美しいはスペイン語にもいえる。彼らの織り成す愛の言葉は淀みなく流れる清水のようだった。

少年時代のイグナシオとエンリケがフィルムノワールの特集上映をしている映画館に行く。黒い映画を「僕らみたいだね」と、彼らは劇場内で互いの性器をまさぐり合いながら見ていた。カメラの前を二人が通り過ぎ、その後カメラは動いて映画館のポスターをアップにする。何の作品かは分からなかったが、オマージュ的なものがあったような気がする。

4月28日は渋谷(428、シブヤ)の日で渋谷の映画館が一部を除いて一律1000円だった。代々木、新宿間のテアトルタイムズスクウェアもぎりぎり含まれている。映画前に金券ショップでチケットを購入しようとすると、店員がわざわざ教えてくれた。利益追求だけでない殊勝な彼に乾杯。