鑑賞前に下調べをすることが多い。あらかたどんな映画なのかを想像できる状態で見ている。情報が飽和、錯綜気味の昨今では全くのニュートラルで劇場へ行くのは不可能に近い。知人の薦めで本作に挑んだが、比較的に事前情報は少なかった。違った見方ができてこれもまた楽しい。
大企業ヴォルフ・グループに勤めるディアーヌは、東京アニメ社の買収を進めるプロジェクトチームの一員として辣腕を振るっていた。チームのリーダーであるカレンを陥れ、実権強奪に成功する。また彼女はヴォルフ・グループのウェブサイトの独占権を争うマンガトロニクス社とデーモンラヴァー社の案件にも携わっていた。実はマンガトロニクス社の産業スパイであるディアーヌは罠を張り巡らせる。しかしデーモンラヴァー社のスパイにおとしめられていく。嘘や裏切りが入り乱れる心理戦をサスペンスフルに表現する。
オフィスで一人ポルノサイトを見るディアーヌ。情報の受け手として、キャリアウーマンとして傍観者の立場だったはずが、ラストではサイトに出演者として供給する側に立つ。ヴァーチャルとリアル、虚と実が混在し、それこそがリアリティであると監督オリヴィエ・アサイヤスは言っているかのようだった。
音楽はソニック・ユース。乾いたギターとの相性が良かった。キメキメではないのに決まってしまうキム・ゴードンたちのスタイリッシュさ。