2月に入ってからレイトショーばかりである。友人が師事していた井土紀州の初監督作と思いきや、ビデオや共同作品を含めると結構撮っていた。「MOON CHILD」の脚本から安保闘争までとは引き出しの多いこと。

文筆家のスガ(漢字変換できず)秀美が、左側の一大エポックであった1968年について、当時の活動家と対談する。インタビューの模様や早稲田大学サークルスペース移転阻止闘争を通して、スガ秀美の人物像が浮き彫りになる。尖がって反逆した生き様と、はにかみや純粋さが同居する。

インタビュー映像はまず対象者一人の絵面から、対談が半ばに差し掛かるとスガも捉えたものに切り替わる。そこにおそらく井土と思われる第三者の存在が見え隠れする。タバコの煙とふと寄せる視線。1968年とスガ秀美へのこだわりと主観性がある。スターリンの演説風景を撮った写真が捏造によって、そこにいたはずのトロツキーが消し去られた事実を掲示することでこの映画は始まった。それが主観性につながる。

空席がないほどの盛況ぶりに驚いた。「レフト・アローン2」の公開もすぐに控えており、こちらはどうしようか検討中。