
妻が亡くなってから廃人のようになった刑事の村田が、同僚の滑川とともにある殺人事件を担当することになった。殺された女性の身元確認のため苫小牧へ行き、彼女の兄を同行させるだけの仕事。生きる屍状態の村田だったが、北海道に着いてから必要以上に事件に介入していく。この心境の変化が、村田の現実と妄想の壁を破壊する。
シーンの繰り返しが多投される。薄暗い家の中を歩く村田が銃を抜く。謎の女・伸子が経営するバーで、タバコを吸う滑川からパンして酒をあおる村田をとらえる。異様なまでの繰り返しで、村田の壊れかけた心情を映し出した。
「真実は一つ」というセリフがあった。一連の事件に滑川と伸子が加担してるのか、それともただの異常者による無差別殺人なのか。すべからく真相を究明するべきという固定概念をあざけ笑う。香川照之の泣きっぷりがはなはだ自分にそっくり。