YESレーベル第一弾として発表された本作。監督の橋口亮輔は自らゲイであることをカミングアウトし、ゲイを題材に映画を製作している。映画や小説はいかに自分をさらけ出して掘り下げるか。これは結構重要なことだと思われる。マイノリティーであることを肯定し旗を振るう行為はそうできることではない。橋口作品は初めてだが、観賞前から感銘を受ける。

匂い立つような若さだった。繊細でもろい青さ。同じ高校に通うそんな学生たちを描いている。男子高校生の伊藤は同姓の友人である吉田に恋していた。吉田は優等生の清水と付き合っていたが、転校生の相原に惹かれていた。強姦されて転校してきた相原は自分の性的趣向に苦悩する伊藤にどこかシンパシーを感じている。少しでも触れれば揺らいでしまうような彼らの心模様を丹念に描写していた。アップになることは少なく、ぎりぎり表情が読み取れるかどうかというアンニュイさ。それぞれカウンセリングを受ける伊藤と相原が交互に映し出される編集も、内情を吐露する二人がドキュメンタリーチックな装いで素晴らしい。

壊れやすくもすがすがしい思春期が疾うの昔であることに憂えたが、よくよく考えると精神的にはそう変わっていなかった。隣の芝は青く見える。