ニュー・ジャーマン・シネマ絡みで「ブリキの太鼓」と共に借りた。「ブリキの太鼓」フォルナー・シュレンドルフ監督と本作のヴェルナー・ヘルツォークが「10ミニッツ・オールダー」で競演していたことに、見ていながら今さら気づいた。ドイツはサッカーや観光業、ゲルマン民族をみると愚直で地味さが拭えない。この「カスパー・ハウザーの謎」で登場する人物や、台詞回しも無駄を嫌っている。ドイツ人と日本人の国際結婚は長続きするらしく、相性の良さがうかがえた。
実在の人物カスパー・ハウザーの数奇な人生を辿る。塔の中で知性を育まぬまま生活していたカスパー・ハウザーは、喋れなく歩けない。まるで狼少女のようだ。そんな彼が青年期に街の広場に投げ出され、そこの人間に拾われて初めて教育が施される。成長過程でアイデンティティーが芽生え、片言で屈辱を語る姿が印象に残った。ドキュメンタリーでディレクションを培ったヘルツォークのリアリズムは説得力がある。知識と言葉を身につけたカスパー・ハウザーは、“地下牢は外よりましだ”“聖歌に吐き気がした”と世界を痛烈に批判する。そんな彼を異端児とみなす正常な人間社会こそが異常だと言いたかったのだろう。実際カスパー・ハウザーに移入した。それを踏まえた上で、この社会に生きる論理や道徳を肯定する。
実在の人物カスパー・ハウザーの数奇な人生を辿る。塔の中で知性を育まぬまま生活していたカスパー・ハウザーは、喋れなく歩けない。まるで狼少女のようだ。そんな彼が青年期に街の広場に投げ出され、そこの人間に拾われて初めて教育が施される。成長過程でアイデンティティーが芽生え、片言で屈辱を語る姿が印象に残った。ドキュメンタリーでディレクションを培ったヘルツォークのリアリズムは説得力がある。知識と言葉を身につけたカスパー・ハウザーは、“地下牢は外よりましだ”“聖歌に吐き気がした”と世界を痛烈に批判する。そんな彼を異端児とみなす正常な人間社会こそが異常だと言いたかったのだろう。実際カスパー・ハウザーに移入した。それを踏まえた上で、この社会に生きる論理や道徳を肯定する。