私が子どもの頃、父から教わった言葉が「花鳥風月」。
それが「森の中で暮らし、花や鳥、虫、生きとし生けるものを大切にすること、自然を愛すること。そして山を愛すこと」でした。
幼少期から大人になっても、この八ヶ岳の美しい山麓にある「八美里ファーム」を中心に駆け巡ることで、自然との戯れ方をごくごく自然に身につけてきました。
この感覚を今の子どもたちにぜひ伝えたいと思っています。
「自然っていいな」「木っていいよね」「鳥ってかわいいね」「山登り好き!」こんなことを子どもたちに体験してもらえればとはじめたのが、理事を務める戸沢財団による「八ヶ岳自然教室 」です。
第1回は、子どもたちとも仲良し、そして施設の先生たちとも仲良しの東京の養護施設「希望の家」の子どもたちです。
待ち合わせは甲斐大泉にある大好きなイタリアンのお店「Copain」です。
お得なランチセットを人数分頼んで、みんなでシェアして楽しみました。
食後は、つくしやふきのとうを摘むつもりで秘密の池に行ったのですが、今年は季節が半月ほど早いせいか、つくしはしっかりスギナになっていました……。
子どもたちはつくし探しはそっちのけで、カエルやカナヘビ、トンボを捕まえるのに夢中になっていました。
ひと遊びしたあとは、近くのニジマスの養殖場へ行って、生簀から生きたままニジマスを40匹ほど購入しました。
子どもたちを含め総勢13名なので、ちょっと多かったかな。
いよいよ八美里ファーム到着。
Ange(アンジュ)、今日もみんなの安全をよろしく頼みます。
ここ八美里ファームは「Jardin des anges(ジャルダン デザンジュ)」、そう天使たちが集い舞う庭です。
早速、庭を走り回る子どもたち。
何か見つけては「福田さ~ん」と呼んでくれるのが、ちょっとうれしい。
きっと、「落ち葉の上を自由に走り回る」という楽しさがみんなの心の中に刻まれたかな。
いいタイミングでした。
ヤマツツジが満開です。
八美里ファームのシンボルツリーの朴の木は、今年も若葉がきれいです。
「あ!」
巣箱にシジュウカラが来ています。
ちょっとお邪魔して、みんなで巣箱の中を観察しました。
最初怖がっていた小さな子どもたちも、しっかりサポートしてあげているうちに、何度も何度も脚立を登っては巣箱の中を観察していました。
きっと、「シジュウカラ」という鳥の名前がみんなの心の中に刻まれたかな。
巣箱の中には……いました!
シジュウカラのヒナと、まだ卵が2個あります。
そうです。
まさに今日ヒナになったばかりです。
これまたなんというタイミングなのでしょう。
みんなが何度も見ていたので、ちょっと長い時間開けっ放しになってしまいました。
ごめんね。
さて、「Etoile de Midi」も今日の日を待ちわびていました。
ヤマツツジに囲まれて、威風堂々と。
みんな室内に入ると玄関がすごい! すごい!
まさに足の踏み場もありません。
少し日が傾いてきたころ、夕飯の支度をする前に、「星つむぎの村」のお2人、高橋真理子さんと跡部浩一さんによる「この季節 八ヶ岳で見える星空」のお話。
「Etoile de Midi」の和室の壁にプラネタリウムを投影しました。
星の話、子どもたちよりも私の方が夢中になってしまったほど、面白くて、夜のリアルプラネタリウムが待ち遠しくてたまりません。
リョウブ(サルスベリ)の新芽を採って炊き込みご飯にすると美味しいんだよと教えたとたん、サルでもスベルのに、見事に登って新芽をたくさん採ってくれました。
きっと、「自分たちで採った野草」の名前「リョウブ」がみんなの心の中に刻まれたかな。
さて、小さな子どもたちは焚き火の準備です。
大人たちはニジマスのはらわたを取ったり、お皿の準備をしたりしています。
疲れて昼寝をしている子もいれば、夜の布団の支度をしている子もいます。
大きなお鍋で13人分のお味噌汁をつくります。
今日の具はお豆腐と油揚げです。
本当はここにつくしやふきのとうが入るはずだったのですが……。
そうこうしているうちにお皿にサラダが盛られて、ニジマスの準備ができました。
さー、いよいよニジマスの塩焼きのはじまりです!
ニジマスを焼いている間に、リョウブの新芽を入れた「リョウブ飯」が炊き上がりました。
さあ、ニジマスの塩焼きと、ローズマリー焼きのできあがりです。
みんなたくさん食べて、食べて、もう食べきれないくらい食べました。
少し時間が押してしまったので、慌てて場所を移動して、リアルプラネタリウム鑑賞です。
先ほど、部屋で見た星空を、「星つむぎの村」のお2人が用意してくれた天体望遠鏡で観察しながら、5月の八ヶ岳の星空を堪能しました。
5月末日に向けて、ここ10年間で最も近い距離に火星が近づく「スーパーマーズ」が見れるというタイミングに感動です。
天体望遠鏡では土星の輪、木星のシマシマ模様までくっきり見えました。
子どもたちは地面に寝転がり、流れ星に願いを託していました。
そして、翌日に満月を迎えるまん丸お月様には、みんないろいろな模様が見えたようです。
営業時間残りわずかというところで「甲斐大泉温泉 パノラマの湯」へ滑り込み、ここでは露天風呂で満点の星空を眺めながら、今日1日の汗を流しました。
小さな子どもたちから順次寝つかせて、大人たちは食事の後片づけです。
これがまた、手際がいいこといいこと。
驚きです。
余ったニジマスを炊き込みご飯に混ぜて、明日のお昼用のおにぎりをつくります。
これまた手際よく、ニジマスの身をほぐして、ちゃっちゃかちゃっちゃかおにぎりを握ります。
感動的な早さでした。
翌朝の朝食は、鳥の鳴き声のシャワーを浴びながら、青空レストランです。
このゆで卵も昨晩サクッと茹であげていました。
美味しそうなモーニングプレートのできあがりです。
パンは長坂インターの目の前にある「オギノ」の中にあるパン屋さんご自慢の「塩パン」です。
きっと、「青空レストラン」で鳥の鳴き声のシャワーを浴びながら食べた朝食の味がみんなの心の中に刻まれたかな。
八ヶ岳自然教室の約束事のひとつは「来たときよりもきれいにして帰る」です。
そう、みんなで、ものすごい勢いで徹底的にお部屋をお掃除して「Etoli de Midi」もきれいになりました。
各自、500mlの「アクエリアス」「無糖紅茶」、そしておにぎりを1つリュックに持って飯盛山登山に出発です。
みんなで「Etolie de Midi」を前に記念写真を撮って、八美里ファームとはお別れです。
飯盛山獅子岩登山口です。
飯盛山の簡単なハイキングガイドはこちらです。
八美里ファームでは咲き終わっていた「ミツバツツジ」がまだ満開でした。
八ヶ岳自然教室の約束事のひとつ「来たときよりもきれいにして帰る」。
飯盛山でも、みんなゴミをたくさん拾ってくれました。
きっと飯盛山も喜んでいるよ。
春の息吹きを感じることが気持ちいい!
みんな元気に登って行きます。
飯盛山の手前にある平沢山から望む飯盛山です。
この時期平沢山はサクラソウの群落に出会える貴重な場所でもあります。
おやつを食べながらひと休み。
さあ、あと少し。
ここからの下り、みんなすってんころりん、よく転がっていました。
2016年5月現在、飯盛山の山頂は形状保護と緑化復活のため、ちょっと味気ないものになっています。
以前はこんな感じでした。
はじめての登山を経験した子どもたちもいます。
私も初めて登った山はこの飯盛山でした。
きっと、「初めて登った山」の名前「飯盛山」がみんなの心の中に刻まれたかな。
飯盛山山頂から望む八ヶ岳連峰。
いつ見てもお見事です。
この日はいつにも増してくっきりよく見えました。
山頂から少し降りたところで、ランチタイムです。
メニューは昨晩握った炊き込みご飯のおにぎりとチャーシュー麺です。
リョウブの新芽が入った炊き込みご飯にニジマスをたっぷり混ぜ込んだ、贅沢なおにぎりです。
うますぎる!
そして、11人分のチャーシュー麺はすごかった。
これもうまい!
あっという間になくなりました。
子どもたちが、「あの線きれいだね」と言って、八ヶ岳の稜線を指差したとき、何だかとてもうれしかった。
本当にさっきまで「ガはきらい!」と子どもたちが毛嫌いしたのは、実は「ヒメキマダラヒカゲ」というチョウです。
止まったとき羽を閉じることができるのはチョウです。
手に止まるヒメキマダラヒカゲを見て、子どもたちも真似をして手に乗せて喜んでいました。
帰るまでに、好きになってくれてよかった。
ふー。
参加してくれた子どもたちと施設の職員のみなさん、星つむぎの村のみなさんに「訪れるものに安らぎを、去りゆくものに幸せを」。
これが八美里ファームの願いです。
参加してくれた子どもたちよ、「花に触れ、鳥の鳴き声に耳を澄まし、風に抱かれて、夜空に眠る」そんなことを心に刻んでおくれ。
そして「花鳥風月」という言葉を、時々思い出してくれたらと。
これが八ヶ岳自然教室の願いです。
「素敵な本を見つけた:センス・オブ・ワンダー/子どもが持つ感性を感じながら、心が洗われる1冊」
そして、君たちの笑顔を忘れないよ。
「すべては子どもたちの明日の笑顔のために」これが戸沢財団の願いです。
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