ピピウが生まれてから44 〜嬉しいサプライズ〜 | 憧れの(?)Italia Firenze生活

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イタリアはフィレンツェに住みつき早十数年。
日本語を教えながら、イタリア人の夫と息子と暮らしています。
私の平凡なイタリア生活の実態を御紹介♪

イタリア、フィレンツェにて、イタリア人の夫と暮らしています。

2017年春に第一子となる息子ピピウ(仮名)を出産。

ただ、26週というかなりの早産で生まれてしまった息子。

息子が生まれてからNICUを卒業するまでの過去の出来事を当時の日記をもとに書いています。

 


〜嬉しいサプライズ〜

点滴のつけ外しを習う毎日。

この日もいつものように午後3時、午後担当の看護師さんにチェックしてもらってピピウの点滴を外しました。

すると、その看護師さんが。

「3時間自由なんでしょ?

…。

外に出たらダメなわけ?」



え?

外に出る?

NICUの?



そんなこと、1 ミリも考えたことがありませんでした。



「ちょっと待ってて、ドクターに聞いてくる。」

とS 看護師さん。

この日のピピウ担当のドクターはすぐそばにいたので、私たちもやりとりを聞いてたんですが…

「ねぇ、〇〇(←ドクターの名前。私と同じ歳くらいの女医さん。)、ピピウは3時間自由なんだから、お父さんお母さんと院内のどこかにベビーカーで散歩に行けないの?」

「散歩? !」



ですよね真顔

予想通りの反応ですよ、ドクター。

普通病棟ならともかく、ここは何と言ってもNICU。


それでも看護師S さんの説得は続きます。


「こんないい天気の日に、せっかく点滴外れてるってのに、3時間NICUでボーッとしてろっていうの?!
いいじゃないちょっとくらい!
8月で外来もほとんど人いないんだから。」

考え込むドクター。

「ピピウもそろそろNICUの外の環境に慣れる必要があるわ!」

考え込むドクター。

そして看護師S さんの背後にいた私たち夫婦にドクターが言いました。

「30分だけね。
絶対にベビーカーに乗せること。
人がいない場所に連れて行くこと(感染から守るため)。
お父さんとお母さんを信用してるから許可するね。
退院するまではピピウは私達の子でもあるんだから、頼むわよ!」



まさかの許可が出ました!


看護師S さんがすぐにNICUにある病院のベビーカーを持って来てくれました。

そのベビーカー、ピピウが小さすぎて不安定だったので、安定するようにタオルをいっぱい詰めてくれました。


「これでok 👍 
散歩、楽しんできて〜!」


信じられませんでした。

ピピウを連れてNICUから出られる?

あの扉の向こうに一緒に行ける?

ピピウをベビーカーに乗せて出口の方へ向かっていると出会った看護師さんたちがびっくりしてました。


NICUの外に出ました。

私もダンナも嬉しくて泣きました。

まだ病院から出られた訳ではないけれど、
またNICUに戻らないといけないけれど、
それでもピピウと一緒にNICUを出て、ピピウが乗ったベビーカーをおしながら歩けることが幸せでした。

何ヶ月も通い続けている病院が、この日は違って見えました。

30分の散歩中、ピピウはほとんど寝てました。


30分はあっという間に過ぎ、NICUに戻りました。


看護師さんたちやドクターたちが「おかえりー!」と迎えてくれました。


こんな素敵なサプライズをしてくれた看護師S さんとDr.Sにお礼を言いました。




その日からです。

ピピウは点滴が外れている間、散歩ok という事になり、点滴を外したら看護師さんが自動的にベビーカーをもってきてくれるようになりました。

しかも、まるまる3時間!

他のドクターも医局長も公認です。


あるドクターは
「時代は変わったわねぇ。
私がここ(NICU)に来たばかりの頃は退院前の赤ちゃんが散歩に行くなんて考えられなかったわよ。これじゃ、NICUじゃないじゃない。笑
よかったね、ピピウ!」
と。



NICU内でも散歩に行く赤ちゃんなんてピピウだけ。

「他の両親達に対して…大丈夫だろうか?」とも思いましたが、みんな外に行くピピウを見て微笑んでくれました。
「いってらっしゃーい」と言ってくれました。



廊下で外科のドクターや麻酔科のドクターに会って、彼らもビックリ!
「やっぱりピピウだ!まさかNICUの外で会うなんて。」と笑ってました。



ガラス張りのわたり廊下を歩いていると、プーっというクラクションが…

振り返ると大きなバイクに乗った人が私たちに手を振っています。

ヘルメットの中をよく見ると…

外科医局長!

勤務が終わって帰られるところだったのでしょう。
私たちを見つけ、寄ってきてくれたようです。

強面の外科医局長が、満面の笑みで手を振ってくれてました。


この病院にはピピウのことで私たち両親と同じくらい喜んでくれる人がたくさんいます。

そう思うと嬉しくて、また涙が出そうになりました。



ピピウの散歩は退院まで続きました。

"退院前にNICUから出た赤ちゃん"と、チョットだけ有名になったピピウ。笑

その後、ピピウと同じ病状で、状況が安定している赤ちゃんは点滴が外れている間は散歩可というルールがNICUにできたようです。


ある日の一人の看護師さんのアイディアがどれだけ私達に大きな喜びを与えたか…。

今でも看護師S さんには感謝しています!


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