関東地区小・中学校女性校長会の件について:私のスタンス | ほたるいかの書きつけ

関東地区小・中学校女性校長会の件について:私のスタンス

 あちこちで言及していただき、またあちこちからリンク・ブックマークをつけていただき、ありがとうございます。
 限られた範囲ではあるのですが、いくつかのウェブサイトを見ていて気になったので、私の基本的な考えを述べておきたいと思います。

 この研修内容は(事実とすれば)到底容認できるようなものではありません。アレンジされた関係者の方々が善意で実行したことを疑うつもりは毛頭ありませんが、結果として出てきたものは、子どもたちの将来に甚大な悪影響を与えるものであり、善後策すら考える必要があると思っています。

 一方で、だからといって関係者を処分しろ、とか、文科省が介入して云々、のような話には反対します。

 あくまでも、現場の教師たちの力で、問題点を見つけ出し、解決策を探り、より良い教育の道を進んでほしいと思っています。

 いま危惧しているのは、子どもたちへの影響とならび、東京の石原知事や大阪の橋下知事のような、横暴でなにもわかっていない権力者が、教育への不当な介入をする口実にこの事件を使うことです。それは、「水伝」教育どころではない壊滅的な打撃を与え、結果的に子どもたちが最大の被害者となることでしょう。

 したがって、私はあくまでも、関係者による自律的な対策を期待しています。無論、そのことは、批判を控えることにはまったくつながりません。自律的で自由な相互批判によってのみ、この問題を良い方向で解決に向かわせることができると信じているからです。つまり、最終的には関係者が自分の頭で納得する必要があるということです。処分云々ではなく、何がおかしいのかを指摘するような批判が大事だ、と言いたいのです(私もネット上で批判するだけではなく、その方向で、裏でも―というか表というべきか―ちょっと動いています。微力なのは自覚していますが)。

 東京では、職員会議で挙手による採決を禁止する通達が出されているそうですが、このようなことをしていれば、教師間での相互批判がなくなり、教師たちが分断され、問題のある教育をしている教師が放置されます。それではなにもよくならない。
 今回の問題と直接関係はしませんが、その意味でも、教育委員会の公選制の復活を真剣に考えてもいい段階に来ているのではと思っています。

 また、詳細は残念ながら存じませんが、容易に想像できることとして、多くの女性教師が差別に喘ぎながらも、声を挙げることで、女性管理職が少しづつ増えてきたのでしょう。そのような歴史を考えるならば、女性校長会には今後ともますます頑張ってもらわなければなりません。

 最後に、教育基本法から今回の件に関連しそうな部分を一部抜粋したものを示します。改「正」されたとはいえ、大事な部分はそれでもまだ残っていますから。
 太字は引用者によるものです。全文はこちら から。

(以下一部抜粋)
我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。

第一条  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

第九条  法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

第十三条  学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

第十六条  教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

無論、16条は、特に問題のある条文に変えられてしまったわけですが…。

 妙なバッシングにつながることだけは避けたいので、慌ててエントリ起こしました。どうかご理解いただけますよう。