ムペンバ効果の実験デザイン試案 | ほたるいかの書きつけ

ムペンバ効果の実験デザイン試案

 前回のエントリ でちょっと考えてみたのだが、やっぱり気になるので色々考えたことをつらつらと。どうやってムペンバ効果を実証するのか(あるいは否定するのか)、という話。ほとんど悪ノリですが。

 一つは、対流の効果をクリアにする。
 違う温度の水を用意するのがムペンバ効果の実験なのだが、その物理的効果を切り分けて考察するには、ここは一つ同じ温度の水を用意し、片方だけ攪拌しながら冷やすというのはどうか。たとえば理科実験用に、ビーカーの底にプロペラみたいのがついていて、自動で攪拌できるやつがありますよね。これをつかって、無理矢理対流を起こすわけ。対流の効果が本質的なら、同じ温度から出発しても、攪拌しているほうが先に凍るはず。
 もちろん、攪拌するということはエネルギーを注入していることになるわけだけど、ゆっくりまわしても十分な攪拌になるので、エネルギー総量としては無視できる程度の運動エネルギーのはず。しかも、エネルギーを与えてるほうが先に凍るならば、それはより対流の効果が重要であることを示していることになる。

 二つ目。温度分布の非一様性の効果をクリアにする。
 と言っても、これは結構ややこしそう。断熱容器に入れるのが一番かな。もちろん、水面は空気に接していないとそもそも冷えないので、壁と底を断熱壁にする。これだと、対流がないときは底に4℃の水がたまり、その水を冷やすのは水内部の熱伝導(上部は4℃以下に冷えている)のみになる。
 この実験によって、温度を一様にするのが重要かどうかがわかる。

 三つ目。冷凍庫の温度を変える。
 水には粘性があるので、当然対流を弱める働きがある。冷凍庫の温度があまり低くないと、初期には対流がガンガン起きていても、次第に粘性によって対流が弱まり、低温からスタートした水の場合と同じようになるだろう(つまり4℃の水が底にたまる)。もし冷凍庫内の温度が低く、急速に冷やすことができるならば、対流を維持したまま4℃の壁を突破できるのかもしれない。なので、冷凍庫の温度を何パターンか変えて実験してみるといいかもしれない。

 あ、庫内の蒸気圧の効果を減らすためには、なるべく大きめの冷凍庫に小さめの容器で実験するのが良さそう。
 ただし、蒸発をどう抑えるか、あるいは同じにするかが問題。その意味でも、同じ温度の水からスタートして、混ぜたり混ぜなかったりを試すのは重要だと思うのだけど。

 しかし、対流ってそんなに起こるものなのかな?よっぽどグルグル回ってないと、表面が4℃を下回り始めた時点で、上のほうから対流が止まりそうなきもするのだけど。そんなに粘性低いかな。
 そうか、容器の太さとも関係あるのかも。壁との摩擦はどうしても生じるだろうから、太い容器のほうが、なかなか対流が消えなくていいような気がする。あと容器の高さが低い方が、対流のある・なしの違いが顕著に出るような気もしますね。

 …素人考えでこれぐらい思いつくのだから、プロはきっともっと色々考えてやってるんだろうなあ。現状はどうなってんだろ。