ポストモダン的構成主義教育論:今月の「物理学会誌」 | ほたるいかの書きつけ

ポストモダン的構成主義教育論:今月の「物理学会誌」

 今月号(2008年3月号)の、日本物理学会が出している「日本物理学会誌」に、「シリーズ『物理教育は今』小特集:日本の理科教育の現状と問題点(1)-『小学校学習指導要領 理科』とその『解説』について-」という特集が載っている(来月も続く模様)。北村正直氏の「理科教育に何が起こっているのか?」と、兵頭俊夫氏の「現行(平成10年告示)小学校学習指導要領解説理科編の問題点について」である。

 小学校理科の学習指導要領に、構成主義がいかに悪さをしているかということが徹底的に批判されている(構成主義そのものではなくて、それに悪乗りしたような教育論に対して)。学習指導要領には「解説」というのがあるのだが(指導要領とは別に売っている。どちらも文科省が出している)、そこでは「科学の理論や法則は科学者という人間と無関係に成立する、絶対的・普遍的なものであるという考え方から、科学の理論や法則は科学者という人間が想像したものであるという考え方に転換してきているということである」と述べられている。これにより、「正しい科学の法則を積極的に教えることを否定している」指導要領ができあがっている。こういう教育論を、彼らは「ポストモダン的構成主義教育論」と呼び批判している。

 残念ながらネットで拾える論文ではないので、お近くの物理学会員に見せてもらうしかないのだが(大きい書店だったら売ってるかもしれない。昔、移転する前の渋谷のブックファーストには置いてあったような)、お持ちの方は読まれると面白いと思う。ちょうど、「粗雑な相対主義批判」への批判にもなっているだろう。