ハイブリッド債とは何か(3) | 金融・経済の仕組を解きほぐすブログ

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三菱商事のハイブリッド債は結局調達額は2,000億円となった模様だ。1度の発行額としてはかなり大きいのではないか。

http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2015/html/0000027808.html


このネームで100bpのスプレッドは投資家からすれば大きいのだろう。いまどき優良企業で100bpものスプレッドが確保できる債券は滅多にないので、需要が殺到したのかもしれない。


期間60年の超長期債であるものの、コールは5年後、10年後に可能な債券なので、実質的には5年債ないし、10年債として投資家は判断を行う。コールに加えて、金利のステップアップが付与されていれば、発行企業からは返済する誘因が十分に働くため、投資家はコール開始日とステップアップの日を満期とみなして投資判断をすることが多い。


ただ、投資家がコールを期待するためには、発行企業が社債を償還できる能力を十分に備えている必要がある。コールが付与されたとしても、コールができそうにないほど業績が低迷している企業であれば、投資家としてはコール日を満期とみなすことができず、60年など法的な満期日を前提に投資判断を行わなければならなくなってしまう。


そのため、今回発行されたようなハイブリッド債は、基本的には優良企業に限られた資金調達方法と考えた方がよいだろう。今後追随する企業が出てくるかどうか注目だ。