前回の記事で、「替えが効かない人材」について、専門性と言う切り口から考えてみました。
「専門性がある」というだけでは、「同じ専門性を持った人で替えが効いてしまう」という点で、替えの効かない人材になることは難しいということです。
ではどうすれば、「替えが効かない人材」に少しでも近づくことが出来るのか。
「替えが効かない」ということをつきつめると、結局「その人で無ければできない仕事」がどれだけあるかに尽きます。
それは何も、専門的で高度な知識を伴うものではなく、「人が変わってしまうと大変不都合」、という仕事であれば、何であっても構わないわけです。
「人依存」の仕事をどれだけ持つことが出来るか、ということですね。
「人依存」の仕事、例えば、「人脈を使った仕事」なんかはこれにあたります。
取引先のキーマンと緊密な関係があって、仕事を持ってこれる、とか。
社内で話を通すために重要な関係者に口が効く、とか。
仕事を進めるために必要な情報を、しかるべき人からすぐに集めてこれる、とか。
その人の「顔」が無ければ出来ない仕事は、他の人が簡単に取って代われるものではありません。
この場合の「人脈」は単に顔見知りの人が多い、という薄い関係の物では無くて、個人と個人の信頼関係をどれだけ作れているか、ということです。
これまでの関係性の元、作り上げられた「人脈」は、個人が替わってしまった瞬間に機能しなくなります。
それだけ「人脈を使った仕事」というのは「人依存」であり、大きな価値を持っているということです。
私の会社のある先輩社員は、社内外に渡り豊富な「人脈」を持ち、社内でも非常に大きな影響力を持つことで、他の社員には簡単には真似できない、多くの人を巻き込んだ仕事の進め方をしています。
3年前後で会社を去る人が多い中、その人が10年以上に渡り活躍しているのは、この「人脈」を使った仕事を、会社が大きく評価している証でもあります。
この先輩社員は、限りなく「替えが効かない人材」、少なくとも「いなくなると大変困る人材」にはなっていると言えます。
ちなみに、その先輩は英語が苦手で、会計やITについてもあまり詳しくありません(笑
高度なファイナンスの知識がある、とか、英語で商談の交渉が出来る、といったビジネスの専門スキルはそれはそれで重要です。
しかし、「替えが効かない人材になる」という意味では、そういった派手な能力よりも、もっと人間臭い、人同士の「信頼関係」の方が、よほど強みになったりするわけですね。
結局、どんなに格好良いことを言っていても、ビジネスをしているのは人と人。
人からの「信頼」を積み重ねることが、何よりも自分の価値を高める近道なのかもしれません。