ナンバーワンでなけりゃ | 遠い夏に想いを

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アメリカ留学、直後の72年の夏に3ヶ月間親子でパリに滞在。その後、思い出を求めて度々訪欧。

ン 前回で名前の方が覚えやすいと言いましたが、それでは、どんな状態のときの名前が覚えやすいのでしょうか。


 例えば、世界中の人物で何かを成し遂げた人は、どうしてその名前を歴史に残したのでしょう?


 ガガーリンでも、テレシコワでも、アームストロングでも、ヒラリーでも誰でもいいんです。


ガガーリン  世界で初めて何かを成し遂げた人達ですね。冷戦時代のソ連で初めてスプートニク(衛星)のボストーク号で宇宙を飛んだ男、ガガーリン。初めて宇宙を飛んだ女性、テレシコワ。ソ連に対抗した宇宙計画で初めて月に足跡を残した男、アームストロング。エヴェレストに初めて登頂した男、ヒラリー、等々。二番手以降の人達の記憶は殆どないでしょう。


 この「初めて」が人々の記憶に残るキーワードになります。かって、ある日本の政治家が「二番手では駄目ですか?」と言ったとか言わないとか。歴史に名を残すには二番手とかフォロワーでは駄目なのです。


 科学の世界では余りに「最初に何々を発見した」ということが多すぎて、初めての発見者の名前を覚えきれません。最初に思い出すのがマリ・キュリーでしょうか。世界で初めて放射性元素という言葉を使った人です。子供の頃見たキュリー夫人の伝記映画でグリア・ガースン演じるマリーの手に青白く光るラジウム鉱石が印象的でした。歴史上彼らの名前は輝いていますね。


 それから、初めてでも歴史的に認識されていないと駄目です。例えば、ヨーロッパからアメリカ大陸に初めて到達した男と言えばジェノバのコロンブスですね。歴史ではそう認識されています。


 ところが別の男がコロンブスの到着の500年も前にヨーロッパからアメリカ大陸に到達していたとしたらどうしますか。北大西洋の真ん中にあるアイスランドからカナダの東海岸に到達しているのです。これは北欧のサガ(叙事)にレイヴ・エリクソンという男が船団を率いて大陸に到達したと記録があるそうです。


 アメリカの中西部のミネソタ州のアレキサンドリアという町に古代ノールウェー人達(ゴート人)が残したルーン語で書かれた石碑があります。カナダ東海岸から五大湖を抜けてミネソタまで探検してきたのでしょうか。しかし一般に知られることもなくコロンブスに軍パイが上がってしまいました。


 大航海時代のスペインが強力だったのと、コロンブス以後のスペインによる現地の略奪が物凄かったからでしょうか。アメリカ大陸には既に1万年以上も前の氷河期にアジアから原住民が氷ついたベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に到達して住んでいました。だからコロンブスが大陸を発見した訳ではありません。昔の話ですが、一人のアメリカ・インデアンがヨーロッパにやって来て、インデアン装束で「我、ヨーロッパ大陸を発見せり」と皮肉を込めて叫んだそうです。


 かって世界はヨーロッパ中心でしたから、日本で初めて何かを和算で解いたって言っても、世界に認知されないのです。これから時代がグローバル化し情報が瞬時に世界を駆け巡り、世界中に認知されるのが速くなるでしょう。それでも、ナンバーワンでなけりゃ駄目です。皆さん、自分で何かの世界ナンバーワン人間を探してみては。


 Viosan の「ミネソタの遠い日々」
1970年に私たち夫婦・子供連れでミネソタ大学(University of Minnesota)へ留学した記録のホームページにもどうぞ