大前研一 『新・経済原論』 ① 道州制とスーパー県知事 | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

大前研一の『新・経済原論』東洋経済新報社を読んでいます。


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タイトルは、センスないよ、これじゃ。大学の経済学のテキスト、固いイメージで手に取る人は居ないだろう。大前さんを知る人以外では。大前さんファン以外の人にこそ読んで欲しいのに。この本は前書きによると、海外で英語で出版した著書の日本版。タイトルとは違い、今、どんどん刷新するビジネスの世界と変わっていく国々(大前さんは単一国家でなく地域という単位で表現する)を描く。特に中国を。フリードマンの『フラット化する世界』と同じような種類の本。こっちはタイトルが活きているね。


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まだ、1章だけですが、いろんなことを考えさせられる。自分の思い、考えを忘れないように、少しづつ、レビューを書くことにします。


中田英寿ではないけれど、大前さんも旅します。そこには世界の変化を自分の目で確かめる明確な意思存在します。ヒデは、サッカーが時間や思考のほとんどを占めていた生活から、新しい何かを発見する旅。しかし、大前さんは変わり行く社会と経済と人を見つめるたびを続けます。旅かあ、日本人、弱いなあこの言葉、私もあこがれる。


旅は、大連、アイルランド、フィンランドと続く。


中国東北部、大連の躍進は、いまや世界中の人が知ることになった、現在、遼寧省知事になった簿熙来氏は、大連の市長時代に、ちょうど朱鎔基の「一国二制度」の元、地方のトップに与えられた権限※を利用し、世界中から企業を誘致し、莫大な資本をこの一地域に集中させた。現在日本企業は大連に3000社。日本を外国語として教える学校も多く、日本のコールセンターでは流暢な日本語を話す中国人がたくさん働いている。


これが日本の県知事だと何をしているか。山奥に、合いも変わらず、工業団地を造成して、企業の誘致。あるいは「廃棄物埋め立て税「歴史と文化の環境税」「子育て新税」「森林環境税」と言った新しい地方税の創設、また、新しい地方債の発行といった県民市民から搾り取ることしか考えていない。足りなくなった財源は結局地方銀行のお世話になる相変わらずの構造。こういったことに取り組んでいるならいいが、公共工事談合で逮捕される知事が出る現状。大阪市なんか、何にも努力していないのではと思いたくなる。

世界に向かって誘致活動をする簿熙来氏は、大連市の知事でなくまさしくCEOなのだ。これが共産主義をいまだに標榜する国家なのだからすごい。日本のほうがよっぽど共産主義らしい気がする。公務員、官僚、天下り先企業、天下り先外郭団体という既得権益集団は、旧ソ連の共産党みたいなもの。また、簿熙来氏は、一個の人間として、しっかり魅力を持っている。自分たちが住んでいる地域の将来性、市民の教育水準の高さ、たくさんの人口やインフラのよさをプレゼンテーションできる能力の高さは何よりも大事。今からお金を投資しようとする大連のトップ、この人にカリスマ性や。能力の高さを見てとって、進出した企業もおおくあるはず。これからの自治体の首長はこういう人でなくてはいけないと大前さんは言う。演説上手の利益団体の調整者役は必要ないのである。石原都知事も不要と。


昨日、仕事で行った会社は、中国と深い関係があり、大連に合弁会社を持つ。その会社の事務所には中国の地図がある。右端に映る日本と比べると大連市のある遼寧省の大きさは九州をはるかに上回る。日本列島のみが映るTVニュースを見る、県知事の政策範囲である都道府県は広く見えるが、中国と比べると、なんとちっぽけなことか。これを見た瞬間、大前さんが常々言う『道州制』導入の意味が俄然わかるようになった。47都道府県に分割するとやはり知事になる人間は小人物になる、海外に投資を求めて活躍するでなく、県民から吸い上げようという発想しかしない知事ばかりになるのも当たり前。圧倒的に知事向きの人材が底をついている。都道府県を廃止し、日本も8つの道州にし、8人の優れたCEO知事を誕生させるべきなのだ。夕張市、岐阜県、大阪市、福島県、和歌山県・・・・・・施政能力のない自治体を一掃させるいいチャンスかもしれない!

地方が東京を通り越して世界に目を向けると、受験勉強で、何が何でも東京の一流校という構図は消え、履修不足確信犯の受験科目一辺倒教育もなくなるし、地方の教育のあり方が明確になる。カリキュラムも自ずと特色が出る日本海側は当然、韓国語、ロシア語が第2外国語になる。またそれらの国々との交流を考えると自ずと日本史、世界史の教育の意義も変わるし近隣諸国との正しい歴史認識を教えなくてはいけないという使命感も教育に生まれる。また、未来や、将来に希望がある教育を行えば、少々のいじめにだって負けない、強い子が育つ。将来に明確な夢を抱ける教育をすれば、いじめなんてする暇はなくなる。


一度は政治の世界に足を踏み込み、退場してしまった大前研一さん。優れた考えを持っているからといって、政治家として成功するかどうかは別問題。しかし、世界は大前さんが言うことが正しいと気づいている。そこ行くと、TVは未だ郵政造反議員がなんとやらということしかやらない。寂しい。


広島市も来年、市長選挙、今、立候補を表明しているのは、柏村参議院議員のみ。県知事は秘書の政治資金規制法違反で苦戦中。広島も日本も世界に置いてきぼりにされそうな気がする。新市民球場もみみっちいし。ハア~。俺、出ちゃおうか。


大前さんが、講演しに広島に来ることはあっても、明確な意思を持って旅をする街のリストには載ってこないだろうな。


※ 現在行き過ぎた地方自治のトップ、とりわけ江沢民に近い人脈を、胡錦濤派が、腐敗分子として粛清している最中ではあるが・・・。