『ピンバイス（精密ドリル）の知識と使い方』

フィギュアを作るときにまず欠かせないのがナイフとカッター、金ヤスリと紙ヤスリ、ねんど系素材で作るならへらやスパチュラですが、もう一品是非買っておいて欲しいものが「ピンバイス」いわゆるドリルです。お値段は販売店によってまちまちですが本体+ドリルセットで定価2000円程度です。

タミヤ社（ANEXも同様）製品はヘッドとエンドの二か所がこのように分解できてチャック（接続部）が２本入っています。タミヤから販売されているものにはマニュアルがないので知らない人も多いらしい。

チャックはこのようにドリルの経に合わせて４種類（前後二種類×２本）使い分けをします。

ドリルの種類。左が極細セット0.3、0.4、0.5、0.6、0.8mm。右がベーシックセット1.0、1.5、2.0、2.5、3.0mm。普通のフィギュア作りならベーシックセットだけで充分です。

写真は極太の綿棒……ではなく、極細ドリルセット。0.3mmは指でつまむのはほとんど無理です。

ここまで細いと無くしたら探すのが大変なことに！写真のようなパンを用意してこの中で作業をするといいでしょう。パンは100円ショップで買えます。

【極細ドリルの取り付け方】

まず最小用のチャックを取り付け先にドリル経のサイズに締め付けておきます。

手で持つのは相当つらいのでピンセットを使うといいでしょう。ドリルの差し込み深さは空けたい穴の深さにもよりますがドリルの溝から1～2mm程度手前が理想です。ドリルの差し込みが浅いと折れ曲がりやすくなります。

ずれることはめったにありませんが正確に中心にはまっているか確認します。ずれたまま使うと正確な穴を掘れないどころかここまで極細だとちょっとでも無理に力を入れただけで簡単に折れてしまいます。細心の注意を払って使用してください。

【実際の使い方】

空けたいポイントに十字の印をつけます。次にけがき針などで点打ちします。こうすることで正確な穴を掘ることができます。

ピンバイスで穴を空けます。3.0mmほどの太さなら一度2.0mmで下穴を空けてからにした方がいいでしょう。最初から太い穴を掘ろうとすると手に相当力を入れなくてはならないため穴の精度が狂ってしまうからです。ドリルを回すのは時計方向なので間違えないように。

空ける穴に対して表面が斜めになっている場合は作業が相当難しくなります。いったん表面を加工し穴の軸と垂直の面を作って穴を空けた後にパーツを成型するのが無難でしょう。
もし空けた穴がずれていた場合や斜めになっていた場合はいったん埋め直して最初からやり直しましょう。3.0mmくらいなら丸型の金ヤスリで強引に修正できますが細い穴をドリルで修正することは不可能です。

【ドリルの小技】
穴を空けた後ドリルを空回しすることで内側を多少削ることもできます。
ドリルで穴をしっかり空けたはずなのに金属線などを差し込めない時は削りカスがたまっている可能性があります。パーツを軽くたたくかドリルを空回ししてカスを出しましょう。

【ドリルのメンテナンス】

ドリルについた削りカスは歯ブラシで落とします。毎回行う必要はありませんがしばらく使わなさそうなときはさび止めを差しておくといいでしょう。写真はペンタイプで使いやすいです。金ヤスリのメンテナンスにも使えます。

【その他】その気になれば金属も彫ることができます。ただしアルミなどの柔らかいものに限ります。刃の切れ味が落ちるのでやっぱり金属に使うときは金属専用ドリルを使う方がいいでしょう。
模型用素材に使う場合はそう簡単に刃の切れ味が落ちることはありません。それでも切れ味が落ちてきたと感じたときは思い切って買い直しましょう。ヤスリや砥石で無理に研ごうとしても素人には無理です。
本当に正確な精度を要求されるような穴を空けたいときは「バイス」と呼ばれる固定台や「ボール盤」と呼ばれる電動式ドリル台が必要になります。フィギュア作りにそこまでのものが必要かどうかは作品と作り手によりますので興味のある方は検索してみてください。

↓は僕が使っているものと同タイプのANEX社製品。今回記事で紹介したのはタミヤからの販売ですがこっちがオリジナルなので性能はタミヤ版とまったく一緒です。0.1から3.2mmに対応。本体＋ドリル刃セットでセットのドリル刃は三本で2.0、2.5、3.0㎜。