もしあなたが世界で一番好きな料理を食べるとき、完璧な攻略法を備わっているその道のエキスパートに、制限時間や食べ方や噛む回数、何かを飲むタイミングなど、隣で細かく指導されながら食事をする。「○○君よりいっぱい食べなさい。早く食べ終わりなさい。」「○○さんに負けたらもう食べさせないわよ。」と目標を決められる。

美味しいですか?
また食べたいと思いますか?


極端な質問ですが、自分で決めるから楽しみがあると思います。また、成功や失敗があり、反省や後悔を感じ、次はこうしようといった思いがあるのではないかと思います。

好きこそものの上手なれ、という言葉がありますが、まさにその通りだと思います。スポーツは自分の責任で失敗を恐れずに決断したり判断してほしい。もし失敗しても、スポーツは許される。そんな位置関係を大切にしたいんですよね。

最近、練習で少し黙って見ていると、選手達が何をやろうとしているのか非常に理解できるようになってきました。指導者を初めて間もないうちは、手とり足とり指導することが指導者の役割だと思っていました。もっとも、リスク管理のため、怪我や事故につながる危険性の高いことは厳しく指導していかなければなりません。さらに言えば、選手を長期的に見て、何度挑戦してもうまく出来ない場合は指導を介入した方が良い場合もあります。

指導者がある程度導いてあげることも大切、成長には時には辛さも痛みも伴います。目標は経験したことのない領域ですから、その領域に経験をした私たちが導いてあげることも大切だと思います。「楽しいのが一番」というキャッチフレーズは、別の考え方をすると、現場を知らない理想やキレイ事に聞こえることもあります。それぞれの事情があるし価値観があるので一概には言えません。

私も指導者としてまだまだ未熟者ですが、日々選手たちから感じることは沢山あり、学んでおります。その中で特に感じたことは、

好きが一番!

ということです。楽しい=好き、だけではないかもしれません。レスリングが好き、仲間が好き、指導者が好き、ウォーミングアップが好き、道場が好き、褒められる自分が好き、頑張る自分が好き・・・・、なんでも良いと思います。好きなものをどんどん増やしてあげたい。

FFCに集う社会人の選手たちを見ていると共通点があります。

まさにスポーツなので人間関係としての表も裏もなく、フラットな付き合いができ、一緒にレスリングを楽しむことが好きなのだと思います。スーツをまとうのではなく、みんなTシャツ短パンで取り組む。汗びっしょり、練習後はみんな笑顔で握手。

・・・これこそ、「おもてなし」の精神では。

まさに利久の世界だ。

それまで戦を好んでいた武士が、畳わずか2畳くらいの広さの部屋でお茶を愉しむことにハマる。武士だけではなく、貧しい農民や老若男女問わず誰でも分け隔てなくもてなす。まさに「おもて」も「うら」もなく、誰もがお茶を好んで楽しめる場、だからこそ広まった。

FFCもそうなりたい。
体力がある人もない人も、
お金がある人もない人も、
学力がある人もない人も、
どんな人でもレスリングを楽しんでもらいたい。


話は変わりますが、練習のない日は朝練をすることを決めた長女。朝は車通りも激しいことから、毎回私も着いていくことにしました。練習を終えて帰宅すると朝食、練習を終えて戻ってくる長女の楽しそうな表情をいつも見ていた次女が一言。

「あたしもやりたい。」

そして、練習日の朝起きると、すでに着替えている(笑)。
親父としても、背中を見せられるうちは見せておかなきゃね。
結構しっかり練習していますが、
写真はなんだか練習って感じではないですね(笑)。
けど、楽しそうな笑顔が一番だ!