物理学会の影響力/6月10日の日本物理学会シンポジウムから/

6月10日、東日本大震災から3ヶ月して日本物理学会シンポジウムが原子力利用について語った。
7人の演者がいれかわり思いを語った。有馬朗人氏がそのメッセージを伝えたい為に
他の6人を引き連れて前座をつとめさせたかのようにも思える、情熱をこめた発信であったとも思える。
その趣旨はいままでの軽水炉のかわりに、古川和男氏の提唱してきたトリウム溶融塩炉にむかうべきであり、カルロルビアが主張してきた加速器駆動炉で六ヶ所村の廃棄物の核変換にむかうべきだというものであった。(本当は加速器駆動炉は古川和男博士がさきに提案したもので、そのことを引用すべきなのだが。。。)そのためにまだ完成にはほどとおいJPARC の第二ステップとして核消滅のオメガ計画をすすめるべきだと。
有馬朗人氏が古川博士を部分的にでも認めたことは大きな前進ではあるが、ほんとうは
遅すぎたともいえる。
このシンポジウムで一番落胆したことは
物理の世界では一番世に影響力のあるはずの有馬氏が今回の原発事故にかんしてさまざまな提案をおこなったにもかかわらず、なにも聞き入れられなかったと告白したことだった。もともと物理学者は原子力などはしがにもかけない雰囲気があり、逆に資金をにぎる
原子力村の人々は、机上の学問などをする人々の意見は戯言であるかのようにお互い水と油のようでもあった背景もある。
今回の有馬氏の提案は正しい路線でもあり、力のおとろえるかもしれない原子力村のひとびととの相対的な力関係が変化をするかもしれないが、原研やKEKのひとたちをわきから眺めていると物理学者が本気になっているとも思えない。
民間の有志が乗り出すしかないのだろうか。