ブービー。 | mellow diary

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相変わらず訳の分からないこと言ってます

昨日用事があって銀行にいたら
以前にバイトで一緒だった女の子に偶然会った
久しぶりだなんて話してたのもつかの間
彼女は思わず泣き出しそうに言った
「M君のこと知ってます?」


数ヶ月前
美容室で担当のスタイリストから
僕が以前にバイトしていた店のスタッフの男が
亡くなったらしいという話を聞いた
その人も人づてに聞いた話でその当人のことはそれほどよく知っていたわけではなく
名前もわからないというので誰の事なのか顔が出て来なかった
もしかしたら という程度で浮かぶ人物はいた

その話をきいてからしばらくして
今も付き合いのあるその以前のバイトで知り合った友人とご飯を食べに行った時に
ちょうどその話を思い出したので切り出すと
友人は新聞でそれらしき記事を見ていたようで
それがやはり彼だったのだという確信をその時に知り
僕も名前を聞き顔を思い出しふたりで落胆した

彼は土木のアルバイトで川の測量中に
雨で増水した川にあやまって流され
そのまま帰らぬ人となった



彼女からM君の名前を切り出され
その記憶がよみがえり残念な思いを打ち明けた

そうすると彼女はおもむろに携帯画面を見せた
そこにはM君と彼女が寄り添い
仲睦まじく写ったふたりの姿があった

「今年には籍を入れるつもりだったんです」
彼女は涙をこぼしながらそう言った

M君には彼女がいて
その彼女は目の前のその人だった

もうバイトをやめて何年にもなる僕はそんな事も知らなかったが
ふたりは付き合って2年以上も経っていて
結婚の約束もしていたという

そして彼女はひとり残ってしまった

こんなことが本当にあるのかという思いになった

あまりの残酷さになにもかける言葉が無かった
この若さで恋人と死別するなんて
だれが想像出来るだろうか


事故であれ病気であれ
いつ誰が死ぬかなんて誰にもわからない
でもそんなことは滅多に起こりえないのだから
それを想像するなんて普通当たり前に出来ない事だ
でも絶対に起こりえない事ではなく
心の隅で少しでもその覚悟があったなら
それは逆に日常に光を当てると思う

残酷なことやけども
そういうことを自分ではない誰かの経験からも学びとるべきやと思う

残念なことに僕は彼女になんの励ましも出来なかったように思うが
彼女はこの経験を経て
それをうまく自分の中で消化できれば
間違いなく強い人間になれるだろうと思う

何十回も言われたやろうけど
がんばりや と言うしかなかった