真冬の一関・平泉 vol.2 (世界遺産 平泉) | FEEL J の 旅ブログ

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日本各地の豊かな食と工芸を訪ねて

お昼に一関でおなかいっぱい餅文化を堪能した後は、車を10分ほど走らせて世界遺産の町、平泉へ。
平泉町観光商工課の武藤様にご案内いただきました。

平泉は、2011年6月に世界文化遺産に登録されています。


ちなみに中尊寺は西暦850年に開山されたのち、その約300年後、移り住んできた藤原清衡公によって金色堂等が建てられます。いまから約900年前、西暦1124年のことです。

中尊寺金色堂のイメージが強い平泉ですが、文化遺産に登録されたのは、「中尊寺、毛越寺をはじめとする仏教寺院や浄土庭園など、平安時代末期に奥州藤原氏が築いた黄金文化の遺産群」。
平泉には中尊寺、毛越寺以外にも、現在発掘中の場所も含めて数多くの遺跡があります。町全体が文化遺産なのですね。
まずは中尊寺に向かったのですが、行く道すがらにも発掘中の場所を見かけました。夏には発掘体験もできるのです。昔、考古学者にあこがれたこともある私はかなり興味津々でしたが、この時期はすっかり雪に埋もれていました(^_^.)。


まずは中尊寺の本堂。

節分の直前でしたので、豆まき舞台の準備中。
大節分会では力士の隠岐の海関をはじめとする150人が豆まきをしたそうです。

この日はオフシーズンの普通の平日だったので、観光客はまばら。
観光シーズンのピークにはスムーズに歩くこともできないほどのにぎわいですから、ゆっくり見学するには冬の観光も悪くないですね。

本堂から金色堂まで歩く間にもいくつかの御堂があります。
こちらは峯薬師堂。


目のご利益があるそうで、最近コンタクトレンズが合わないなぁと思っていた私は一瞬心動いたのですが、この絵馬のインパクトにちょっとおののき・・・。


絵馬は買わずに、お堂を守るように座っていたお目目パッチリ(バッチリ!?)の蛙さんをなでなでしてみました。


こちらは鐘楼。

南北朝時代からの建造物で、何度も火災にあっている中尊寺の敷地内でも古いもの。建物もの傷みもはげしく、鐘は打ちすぎてへこんでしまっているそうです。よってふだんは立ち入ることはできません。震災の犠牲者供養や世界遺産登録のときなど、特別な時にだけ今も鳴らされます。

経蔵。

讃衡蔵ができるまでは中尊寺の経典はここに収められていました。

能楽堂。

中尊寺の敷地内にある白山神社の中にあります。
白山神社は気の通りがよくパワースポットでもあるとか。この日は気の通りというより、冷たい風の通りが良くて・・・寒かった~。

さて、肝心の金色堂も資料館である讃衡蔵も写真を撮ることができませんでしたが、
まさしく金色に輝く金色堂といい、数々の文化財といい、期待以上に大変見ごたえのあるものです。当時は本当に金が豊富に採れたのだと実感!

中でも私が心動かされたのは清衡が中尊寺建立の趣旨を述べた「中尊寺建立供養願文」でした。

パンフレットを写真に撮ったので見にくいですが。


讃衡蔵の中で見ることができます。

1051年から始まった前九年の合戦・後三年の合戦。長い争いで多くの命が奪われ、清衡公自身も父や妻子を失いました。
後に平泉に移り住んだ清衡は、敵味方の区別なく全ての霊を慰め、仏の教えによる戦のない平和な理想社会を実現するために中尊寺を造営します。
その後、四代泰衡公のときに再び源頼朝に攻め込まれ、奥州藤原氏は滅亡してしまうのですが、
世界遺産に登録されて世界中から多くの人々が訪れるようになった現代でも
戦争のない平和への願いは、いまも世界共通の思いですね。


中尊寺をあとにして、二代基衡公と三代秀衡公のころに造営された毛越寺を訪ねました。




境内に合った最盛期の絵地図を見てびっくり。
広々と見える現在の庭園は、実は当時のほんの一部。秀衡公のころには500人もの僧侶を抱え、中尊寺をしのぐ広さと繁栄を誇ったそうです。

毛越寺では、春と秋の藤原祭り、新年に夜中まで舞が奉納される祭りや、浄土庭園での曲水の宴など、当時をしのぶ様々な行事が行われています。


今回初めて世界遺産「平泉」を訪れて、たとえ平安末期の短い期間とはいえ、改めてこの地がいかに経済的に文化的にそして精神的にも豊かな、都をしのぐほどの繁栄を誇っていたかということを知りました。

このブログの中では伝えきれないことがたくさんありますし、金色堂の美しさも願文の感動も、やはり写真だけでは分からない。ぜひ多くの方に一度この地を訪ねていただきたいと思います。


最後にちょっとだけ平泉の美味いもの情報。
一つは毛越寺の駐車場にあるお土産屋さん「毛越寺門前あやめ」にあるパンとお漬物。

左は金色あんぱん。
右は中にお漬物が入ったわらじパン。

金色あんぱんは平泉の小麦「コユキコムギ」を使ったもちもちのパンが特徴。
わらじパンは見た目のインパクトはもちろん、ありそうでなかった大根のお漬物が入ったパン。チーズも入ってちょっと温めて食べるとすっごく美味しいんです。
写真はありませんが、ここで買った大豆の漬物もお気に入り。

もう1か所は平泉の駅近くにある「菓子工房 吉野屋」さん。
和菓子、洋菓子を売る大正4年創業の老舗。

銘菓弁慶力餅はお土産に。


こちらのシュークリームは、遠路持ち帰りは難しければぜひぜひイートインで。

サクサクのシュー生地も、田野畑の山地酪農さんの牛乳を使ったクリームも最高です。

吉野屋さんには地元のお客さんがひっきりなしに訪れていました。
お目当てはお菓子だけではなさそうです。
イケメンの若旦那さんにかわいい奥様。
こちらのお店はときどき地元の方が集まるイベントを開催しているのだそうです。
若旦那さんは海外経験豊富なスポーツ療法士でもあり、ウクレレ奏者でもあり、地域の人気者。
お話しさせていただいて、地元への熱い思いに私まで嬉しくなってしまいました。


平泉、もう少し暖かくなったら再訪し、発掘体験やお寺での写経などもしてみたいですね。そして地元の方とお話しして美味しいもの食べて…!


今回は寒い中ご案内くださいました平泉を愛してやまない武藤さん、岩手県庁の熊谷さん、安彦さん、ありがとうございました!