産めないから、もらっちゃった | jasmin jasmin 女医の子育て。

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ほぼ毎日、描いているマンガなどです。

今日は大晦日ですが、実家から紅白を観ながら
この本のご紹介をお送りします。

なかなか衝撃的なタイトルのこの本、
私の本の編集をしてくれたO西さんが編集しています。

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一言でいうと、うさぎママさんご夫妻とアンちゃんが
特別養子縁組で家族になるという話です。


皆さん、普通の養子と特別養子縁組って違いを知らないですね。
私も知りませんでした。
p10にその違いが載っているんですが、特別養子縁組は「家庭に
恵まれない子に温かい家庭を与え、その家庭の中で健全な
育成が図れるようにすること」を目的に行われます。
だから、6歳までの小さい子が対象で、戸籍には「長男(長女)」
とだけ記載されます。養子であることがわからないんです。
そして、実の親との法律的なつながりはなくなります。

この「産めないから、もらっちゃった」という本は、24年前に
そういう方法で新しい家族を持ったうさぎママさんが、
ご自身の体験を書いた本なんです。面白そうでしょう。




うさぎママさんが特別養子縁組を考えるまでの第一章があり、
ドキドキしながら妊娠期間のような気持ちで、アンちゃんを待つ
のですが、第三章で実は子どもがほしいと思う両親候補に比べ、
子どもが少ないということを知り衝撃を受けました。

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私はNICUで働いた時に乳児院がいつも一杯なのは知りましたから、
てっきりほしい人の方が少ないのかと思っていました。
しかし、産んだ人が「生活の基盤を作って、絶対に迎えに来ます!」
と乳児院に子どもを預けても、月日が経つうちに所在不明になる
ということがあるのだそう。NICUでも、面会に来るとそういう
前向きなことを言うものの、段々面会に来なくなり、退院の日には
現れずという経験がありました。経済的なことが理由で病院に
来なくなるのではないのです。乳幼児はたとえ集中治療を受けても
両親が負担する金額は、ほぼありません。
乳児院に預けるのも、経済的に産んだ人が負担する金額はない
はずです。だから、気持ちの問題なのでしょう。
育てられるかどうかの逡巡、自分自身の生活への不安など、いろいろ
難しい問題があるでしょうが、その間に子どもは成長します。
お座りができるようになり、離乳食が始まり、人見知りを始め、
・・・そういう時代はあっという間に過ぎていきます。
子どもを育てたくてたまらない人がいるなら、そういう人たちに
愛情を持って育てられた方がいいのにとショックを受けました。

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もちろん、施設を否定するつもりはありません。うさぎママが
通った赤ちゃんハウスも「保母さんたちの元気な笑顔、骨身を
惜しまぬ育児、洗濯係の女性まで一丸となって子どもたちを愛して
いました。」
とありました。
NICUだってそうです。仕事として赤ちゃんたちに接していますが、
可愛いと思わずにいることは難しいのです。そして産んだ人が
顧みないなんてことになると、自分の受け持ち患者さんである
子どもになり替わって、医者も看護師もとても残念に思っていました。




そうして待っていても声がかからない両親候補がいるのですが、
うさぎママにはアンちゃんがやって来ます。私は、第二章の冒頭が
ハイライトだと思っています。

「マシュー(※うさぎママさんの旦那さん)は、大きくて
無骨な手で、産毛にも触れるか触れないかほどのやさしさで、
何度もアンの頭をなでていました。切れ長の瞳、ふっくらとした
ほっぺ、ちっちゃなくちびる、透き通った小さな爪がきちんと
並んだ奇跡のような手足。」



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初めて赤ちゃんを見るとなんて細かいところまで繊細にできて
いるんだと感動しますよね。私も嬉しい気持ちになりました。




p48の母性愛の恐ろしさでは、あるあるある・・・と笑ってしまい
微笑ましいし、折々に出てくるうさぎママさんの養子であること
の告知に関しては本当にそうだろうなとうなずきました。
子どもにとっては内容の真偽よりも大人が気の毒そうにしている
というのが、嫌なのではないかと思うのです。特に、「本当のママ」
が誰かという話はなるほどなーと思いました。産んでくれた人と
ママは違う、あなたのママは私だけだという説明にアンちゃんが
納得し、安心するのですが、子どもにとっては本当にその点が
大事なのだと思います。ゆるぎない安心できるお母さんというが
誰なのかって、存在意義にも関わりますからね。
うさぎママさんすごい!素晴らしい!




巻末に、資料として特別養子縁組の現状と手続きが載ってます。
関心が増したという人は、これを読んで次に菊田医師の本など
読むといいのではないでしょうか。

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りさりさんが今、菊田医師についてブログで描いています




タイトルについてはうさぎママさんのブログにもありましたが、
養子縁組では「もらう」という言葉は禁止される場合もあり、「授かる」
とか「迎える」という言葉の方が受け入れられやすいそうです。
うさぎママは言葉にこだわりがなく、当事者同士が言葉を変えても
外から見れば「もらわれてきた子」だから、お子さんにはかたくな
にならずにしなやかな強さを身につけてほしいと思ったから、
ブログのタイトルを決めたそうです。
この本はブログの書籍化なんです。→こちら

確かに、ものすごくインパクトのあるタイトルですよね。
リトマス試験紙のように、うさぎママさんと感性を同じくする
人たちを惹きつける言葉だと思います。
だって、私のうちに来た友人が「いつになってもいいから、
読み終わったらこの本、貸して?」と言っていましたから。
純白に銀色で描かれた、りさりさんの素敵なイラストともに
素晴らしい本になっていると思います。




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このお正月休みにいかがですか?






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一年間、このブログをありがとうございました。
また来年もよろしくお願いします。


今日の記事の写真はフリー素材の写真を使っています。
うさぎママさんとアンちゃんの写真ではありません。