今日は大晦日ですが、実家から紅白を観ながら
この本のご紹介をお送りします。
なかなか衝撃的なタイトルのこの本、
私の本の編集をしてくれたO西さんが編集しています。
【1000円以上送料無料】産めないから、もらっちゃった!/うさぎママ
¥1,470 楽天
一言でいうと、うさぎママさんご夫妻とアンちゃんが
特別養子縁組で家族になるという話です。
皆さん、普通の養子と特別養子縁組って違いを知らないですね。
私も知りませんでした。
p10にその違いが載っているんですが、特別養子縁組は「家庭に
恵まれない子に温かい家庭を与え、その家庭の中で健全な
育成が図れるようにすること」を目的に行われます。
だから、6歳までの小さい子が対象で、戸籍には「長男(長女)」
とだけ記載されます。養子であることがわからないんです。
そして、実の親との法律的なつながりはなくなります。
この「産めないから、もらっちゃった」という本は、24年前に
そういう方法で新しい家族を持ったうさぎママさんが、
ご自身の体験を書いた本なんです。面白そうでしょう。
うさぎママさんが特別養子縁組を考えるまでの第一章があり、
ドキドキしながら妊娠期間のような気持ちで、アンちゃんを待つ
のですが、第三章で実は子どもがほしいと思う両親候補に比べ、
子どもが少ないということを知り衝撃を受けました。
私はNICUで働いた時に乳児院がいつも一杯なのは知りましたから、
てっきりほしい人の方が少ないのかと思っていました。
しかし、産んだ人が「生活の基盤を作って、絶対に迎えに来ます!」
と乳児院に子どもを預けても、月日が経つうちに所在不明になる
ということがあるのだそう。NICUでも、面会に来るとそういう
前向きなことを言うものの、段々面会に来なくなり、退院の日には
現れずという経験がありました。経済的なことが理由で病院に
来なくなるのではないのです。乳幼児はたとえ集中治療を受けても
両親が負担する金額は、ほぼありません。
乳児院に預けるのも、経済的に産んだ人が負担する金額はない
はずです。だから、気持ちの問題なのでしょう。
育てられるかどうかの逡巡、自分自身の生活への不安など、いろいろ
難しい問題があるでしょうが、その間に子どもは成長します。
お座りができるようになり、離乳食が始まり、人見知りを始め、
・・・そういう時代はあっという間に過ぎていきます。
子どもを育てたくてたまらない人がいるなら、そういう人たちに
愛情を持って育てられた方がいいのにとショックを受けました。
もちろん、施設を否定するつもりはありません。うさぎママが
通った赤ちゃんハウスも「保母さんたちの元気な笑顔、骨身を
惜しまぬ育児、洗濯係の女性まで一丸となって子どもたちを愛して
いました。」とありました。
NICUだってそうです。仕事として赤ちゃんたちに接していますが、
可愛いと思わずにいることは難しいのです。そして産んだ人が
顧みないなんてことになると、自分の受け持ち患者さんである
子どもになり替わって、医者も看護師もとても残念に思っていました。
そうして待っていても声がかからない両親候補がいるのですが、
うさぎママにはアンちゃんがやって来ます。私は、第二章の冒頭が
ハイライトだと思っています。
「マシュー(※うさぎママさんの旦那さん)は、大きくて
無骨な手で、産毛にも触れるか触れないかほどのやさしさで、
何度もアンの頭をなでていました。切れ長の瞳、ふっくらとした
ほっぺ、ちっちゃなくちびる、透き通った小さな爪がきちんと
並んだ奇跡のような手足。」
初めて赤ちゃんを見るとなんて細かいところまで繊細にできて
いるんだと感動しますよね。私も嬉しい気持ちになりました。
p48の母性愛の恐ろしさでは、あるあるある・・・と笑ってしまい
微笑ましいし、折々に出てくるうさぎママさんの養子であること
の告知に関しては本当にそうだろうなとうなずきました。
子どもにとっては内容の真偽よりも大人が気の毒そうにしている
というのが、嫌なのではないかと思うのです。特に、「本当のママ」
が誰かという話はなるほどなーと思いました。産んでくれた人と
ママは違う、あなたのママは私だけだという説明にアンちゃんが
納得し、安心するのですが、子どもにとっては本当にその点が
大事なのだと思います。ゆるぎない安心できるお母さんというが
誰なのかって、存在意義にも関わりますからね。
うさぎママさんすごい!素晴らしい!
巻末に、資料として特別養子縁組の現状と手続きが載ってます。
関心が増したという人は、これを読んで次に菊田医師の本など
読むといいのではないでしょうか。
りさりさんが今、菊田医師についてブログで描いています。
タイトルについてはうさぎママさんのブログにもありましたが、
養子縁組では「もらう」という言葉は禁止される場合もあり、「授かる」
とか「迎える」という言葉の方が受け入れられやすいそうです。
うさぎママは言葉にこだわりがなく、当事者同士が言葉を変えても
外から見れば「もらわれてきた子」だから、お子さんにはかたくな
にならずにしなやかな強さを身につけてほしいと思ったから、
ブログのタイトルを決めたそうです。
この本はブログの書籍化なんです。→こちら。
確かに、ものすごくインパクトのあるタイトルですよね。
リトマス試験紙のように、うさぎママさんと感性を同じくする
人たちを惹きつける言葉だと思います。
だって、私のうちに来た友人が「いつになってもいいから、
読み終わったらこの本、貸して?」と言っていましたから。
純白に銀色で描かれた、りさりさんの素敵なイラストともに
素晴らしい本になっていると思います。
【1000円以上送料無料】産めないから、もらっちゃった!/うさぎママ
¥1,470 楽天
このお正月休みにいかがですか?
一年間、このブログをありがとうございました。
また来年もよろしくお願いします。
今日の記事の写真はフリー素材の写真を使っています。
うさぎママさんとアンちゃんの写真ではありません。