「フォローアップミルクって、
飲ませなくちゃいけないんですか?」
って質問がたまにあります。
類似の質問に「フォローアップミルクを飲まないんですが、
どうしたらいいですか?」というのもあります。
ネットで調べたらたくさん情報はあるんですが
忙しいお母さんたちは文字をたくさん読む余裕がきっとない
と思うので私も一回、まとめてみます。
いつものように結論から言うと
フォローアップミルクは飲ませなきゃ
いけないものではありません。
新生児期から飲ませる育児用ミルクは、
母乳が不足している時や
母乳をあげられない時にあげるものです。
育児用ミルクは母乳に可能な限り近づけたものなんです。
一方、フォローアップミルクは牛乳の代わりのものです。
日本で売られているものは生後9ヶ月以降に
使用するよう1990年に日本小児栄養
消化器病学会乳児栄養委員会から勧告が出されました。
牛乳は手軽で安くて良い栄養源で、
フォローアップミルク登場前
離乳期によく与えられていましたが
タンパク質が多すぎるんです。
(小さくて見にくいのですが一番上から牛乳、フォローアップミルク、母乳の
タンパク質含有量。クリックでこの図を持って来た和光堂の記事に行きます。
注:その後、ページレイアウトが変わったようです。)
タンパク質が多いとアレルギーの原因になる可能性があるし、
子供の胃腸に負担がかかります。
なのでフォローアップミルクはタンパク質を
牛乳より少なくしています。
牛乳の代わりですからフォローアップミルクは
離乳食が3回食べられるようになったら
あげるというのが理想です。
離乳食って親が食べてほしいようにバランスよく
食べさせるって難しいものです。
子供は「なんでも食べなくちゃ。」なぁーんて
全く思っていないですからね!
以前は母乳や牛乳ばかり飲み、
貧血になる子が今より多かったんです。
救急外来で”風邪”ってことで来た子があんまり
青白いので血液検査をしたらヘモグロビンが
4g/dl(普通の1/3くらい)でビックリしたことがあります。
母乳性貧血でした。
絵のように8g/dl程度でも赤みが少ないです。
こういう状況を改善するために開発されたのが
フォローアップミルクなんです。
日本では1975年から製造されているそうです。
(クリックで雪印乳業のHPに飛びます)
牛乳に少ない成分をこのように多くしてあります。
(クリックで森永乳業のHPに飛びます)
なので離乳食3回とフォローアップミルクを併用した場合
一日にあげたい栄養素をバランスよく摂ることができます。
という訳で、フォローアップミルクは離乳食が順調なら
飲ませる必要は全くありません。
牛乳を飲ませるならフォローアップミルクの方がいいかな
くらいのものです。
また、母乳や育児用ミルクしか飲まないなら
離乳食をなんでも食べられるように頑張った方が、
フォローアップミルクを飲ませる努力より
ずっといいのです。
調べていてやっぱりミルク会社のHPは詳しく書いてあって、
Q&Aなんかも面白いのですが、
ミルク会社だけに「フォローアップミルクは必要ない。」
とは書けないですよね。
雪印乳業のQ&Aで
『間違ってフォローアップミルクを8ヶ月未満の子どもに
飲ませてしまいました。大丈夫でしょうか?』
の答えが
『機嫌や食欲など、赤ちゃんのご様子がいつもと
変わらなければ問題ないかと思われます。
便の状態が変わることがございますが、
湯冷まし等の水分を飲ませてご様子を見てください。
ご心配な場合は小児科の受診をおすすめいたします。』
って小児科に行けって書いてあるんですけれど
そんなことで来る人を見たことがありません。
ほんとに小児科に来られても困っちゃうな。
目指したより字が多くなってすみません。
付録:各社のフォローアップミルクについてのページ
(アイウエオ逆順)
和光堂「ぐんぐん」(Q&Aでなく読み物。詳しい。)
雪印乳業「たっち」(Q&A)
森永乳業「チルミル」(一覧はない。検索フォームのみ。)
明治乳業「ステップ」(Q&A)
ビーンスタークスノー「つよいこ」(Q&Aでなく読み物)
アイクレオ「フォローアップミルク」(Q&A)